《再根管治療を極める 根管治療の精度を向上させる専門医からのアドバイス》 クインテッセンス出版 牛窪敏博 編著
歯内療法の専門書です。特に再根管治療(感染根管治療)を中心に書かれています。
現在の歯科治療は、歯髄(神経)をいかに保存するか?もしくは保存する治療方法は?という考えが中心にあり、抜髄(神経を抜く)治療は減ってきているのではないでしょうか?そのためか、根の治療と言えば感染根管治療が多いのではないでしょうか?!
感染根管治療は、根尖の破壊・歯への感染の大きさ・歯の欠損の大きさ・根尖病巣の大きさ等、予後が悪いと言われています。感染根管を100%治せると言われる先生がいるならば私は信じられません!
しかし、予後が悪いからといって、気を抜いてはいけません、基本を守って治療をすることにより確実に治療効果が上がると思います。
今日も、下顎第一大臼歯の近心根に破折ファイルがあり、拡大鏡レベルの治療を行い、時間はかかりましたが除去することが出来ました。破折ファイルは1mm程度のものでしたが、肉眼では不可能の治療かと思われます。
この本は、アメリカ式歯内療法の専門医である先生が中心になり書かれており1つずつの手順を注意事項を交えて書かれており、その理由をエビデンスレベルで論文を引用しながら解説してあります。
これからの専門書は、「私はこんな感じで治療している!」と書いてもその理由を、論文を引用した解説が必要になってきています。サイエンスにはこのエビデンスが必要なのです。その点で言えば、この本は各ステップを確認しやすいので大変勉強になります。
ただ、症例が少ないのでこの考え元に症例集やDVDを観てみたいものです。
根管治療の一つのコツとして歯をどれだけ頭の中で3D化して診査・診断・治療が出来るか重要だと思います。
共同執筆の石井宏先生の講習会を今年受講予定ですので、その予習のためにも購入してみました 🙂