歯ぎしりと思っていたら… 顎口腔ジストニアの早期発見を

口や顎、舌、唇などの筋肉が無意識に収縮する「顎口腔ジストニア」を患いながら、顎関節症や歯ぎしりと診断されやすい。まれな病気で、経験豊富な歯科医師でも患者と接する機会が少なく、見落とすためだ。悪化する前に、適切な治療を早く受けられるように、国立病院機構・京都医療センターの歯科口腔外科はセルフチェック表を作成し、患者の理解を呼びかけている。

 ジストニアとは、筋肉の収縮を調節する大脳基底核や神経系統に何らかの障害を受けた結果、全身または身体の一部に、ねじれや硬直、けいれんなどが生じる疾患だ。思い通りに筋肉が動かなくなり、肉体的、精神的に苦痛を伴う。頭が傾いたり、まぶたが自由に開けなかったり、字が書けなくなったりと、日常生活に支障を来す場合もある。

 ジストニアの疑いがある患者は原則として神経内科を受診するが、顎口腔ジストニアの場合、口腔外科が専門領域になる。代表的な症状として、無意識に▽口を閉じてしまう▽口を開いてしまう▽舌が前に出てしまう▽下顎が横へずれる-などがある。京都医療センター歯科口腔外科は2007年7月から専門的な治療を始め、全国から500人近くの患者が受診した。

 吉田和也医長は「顎口腔ジストニアは患者さんだけではなく、医療関係者の間でも、ほとんど知られていない。適切な治療を受けられず、症状が悪化してから受診するケースが多い。例えば、閉口ジストニアの患者さんは約8割が顎関節症と診断されている」と指摘する。早期発見につなげようと、「口と顎の筋肉に無意識に力が入って動いてしまう」など、特徴的な症状を挙げ、10項目のセルフチェック表をつくり、ネット上で公開している。自己診断で6項目以上該当すれば、専門医の早期受診が望ましい。

 顎口腔ジストニアの治療には、ブロック療法やボツリヌス療法のほか、内服治療、マウスピース、口腔外科手術などがある。吉田医長は「症状の種類や状態によって治療法を選択する。症状が軽い段階で治療を始めた人ほど、総じて治療効果が高い」と説明する。

 また、長時間に渡って口や顎に緊張した状態が続くためか、受け付け、営業、教員、司会など、話す職業に多いのも一つの特徴だという。潜在的な患者は相当数に上るとみられ、まずはジストニアに対する正しい理解が欠かせない。

☆この数年話題になっている病気です!現代病の1つかもしれません。セルフチェックしてみてください。

20150604200155self