●かみ合わせの関連性は薄く
周りの人が目覚めるほど、夜中に突然大きな音がする歯ぎしり。本人は気がつかないまま、寝ている間に強い力で歯をかみしめたり、擦り合わせたりするようだ。歯ぎしりは病気ではないが、軽くみて放っておくと、歯がすり減り、歯周病を悪化させることもある。
「ギシギシ」「キリキリ」「ギュッギュッ」「カチンカチン」。歯ぎしりの音にも様々なタイプがある。ひどいと一晩で合計30〜40分、歯ぎしりをしている人もいるが、ほとんどの場合、自覚症状はない。同室で寝る家族や旅先で一緒になった友人から指摘されて、はじめて気がつくことが多い。起きたときに、あごにこわばった感じやだるさがあっても原因が歯ぎしりと分からないケースも少なくない。
歯はエナメル質などでできており、体の中で最も硬い。しかし、赤穂市民病院(兵庫県赤穂市)の村上賢一郎・歯科口腔(こうくう)外科部長は「歯ぎしりを毎日繰り返していると、歯の表面にある凹凸が数カ月で減ってしまうこともある」と説明する。差し歯やインプラントなどの義歯だと割れるケースもあるそうだ。
●加齢と共に減少
歯ぎしりは子どもでは10〜30%でみられるが、成長するにつれ減ってくる。成人で5〜10%、高齢者では2〜3%程度だと推定されている。一般的には男女の差はあまりないと考えられているが、岡山大学の水口一・助教が高校生を対象にした調査では、男子は女子より強い歯ぎしりの回数が多かったという。
かみしめる力がそれほど強くないと音の出ないケースもあり、健康な人の約6割が睡眠中に歯ぎしり一歩手前の動きをしているという研究報告もある。
歯ぎしりはなぜ起こるのか。原因はよく分かっていない。食べ物をかむときにあごを動かすために使う咬筋(こうきん)の緊張や、強いストレスなどとの関連性がこれまで指摘されてきた。
また、最近の研究で明らかになってきたのが睡眠との関係。寝ている間、正常でも断続的に数〜十数秒間、脳を活性化させている。大阪大学の加藤隆史・講師によると、こうした活性化状態の時に歯ぎしりが起こるのが分かってきた。「睡眠の質が落ちた時に脳の微妙なバランスが崩れ、歯ぎしりがひどくなるケースがある」と指摘する。睡眠時間の長短は関係ないようだ。
歯ぎしりをする人の中には顎(がく)関節症を患っているケースもある。赤穂市民病院を受診した市内在住の60代女性は口が開けにくく、あごからカクカクと音がした。診察すると歯もすり減っており、顎関節症と歯ぎしりが認められた。顎関節症で受診した患者の4〜5人に1人の割合で歯ぎしりがあった。村上部長は「歯ぎしりは顎関節症の原因というより、症状を悪化させている要因の1つだ」と話す。
実際には歯ぎしりを悩んで受診する人は少ない。あごの痛みや、歯を支える組織が損なわれて歯がぐらぐらするなどの症状から歯ぎしりが分かるケースが多い。診察では歯のすり減りやあごの筋肉が盛り上がっていないかを確認し、判断する。あごが痛くても、午前中だけなら歯ぎしりの可能性が高いが、昼間や夕方に痛みが強いと仕事中などに無意識にかみしめているのが原因というケースもある。
●睡眠中に専用器具
一般的な治療は睡眠中にスプリントという透明な樹脂などでできた専用器具を歯にかぶせる。マウスピースに似ているが、約3ミリメートルの厚さがあり、強い力がかかっても壊れにくい素材が使われている。歯が擦れ合ってけずれたり、1カ所に力が集中してしまったりするのを防げる。
ただ、かぶせれば歯ぎしりは減るとも言い切れず、人によっては逆に増える場合もある。症状がある限り使用し続けるのが原則だ。健康保険が適用されるので、スプリントの代金は5,000円前後ですむ。
誤解が多いのが「かみ合わせが悪いと歯ぎしりが起こる」という考え。20年以上前はこうした説が専門家の間でも提唱されていたが、現在では関連は薄いとされている。このため、歯ぎしりを治す目的で歯を削ったり、歯科矯正したりするのは「1度やったら引き返せないので、なるべく避けた方がよい」と専門家は口をそろえる。
それよりも質のよい睡眠やストレス解消で、歯ぎしりを減らす工夫をしたい。具体的には、不規則な生活を避け、ゆっくり風呂に入るなどしてリラックスする、寝る前に食べ過ぎない、寝酒はしないといったことに気をつけよう。
(日本経済新聞長谷川章)
少し文章が長いですが以上の様な報道がありました 🙂 私も大半は同意見ですが、かみ合わせの因果関係については関係があると考えています。過剰な咬合調整は無意味だと思いますが咬合分析後、適切な咬合調整は必要かと思います 🙁 三嶋歯科医院ではマウスピース治療も積極的に取り入れています 🙂 歯ぎしりの相談・治療も行っていますのでご相談くださいね 🙂