硬いエナメル質を削る(@_@)

「ダイヤモンドは永遠の輝き」という広告がありましたが、女性の宝石へのあこがれは永遠のようですね。
 

さて、ダイヤモンドは、この世の中で最も硬い物質としても知られています。だから工業用に合成されたダイヤモンドは、ガラスの切断など、いろいろな切削器具に利用されています。
 

私たち歯科医師が、歯を削るにも、ダイヤモンドを使っているのです。これは歯の表面をおおっているエナメル質が、ダイヤモンドと同じくらい硬いからです。硬さを計る単位(モース硬度)を使って正確にいうと、ダイヤモンド10、エナメル質は7です。つまり、エナメル質の硬さはダイヤモンドの70%もあるのです。
 

歯医者さんに行くとキーンという高い音が聞こえて寒気がするという患者さんがおりますね。あればエアタービン(圧搾空気の力で、羽を高速で回転させる切削器械)の音です。三十年ほど前にこのエアタービンが開発されるまでは、歯のエナメル質を削ることは大変なことでした。エアタービンのおかげで、今では効率よく、また正確にエナメル質が削れるようになり、歯科医療の精度が向上しました。また、同時に患者さんへの負担もずいぶん軽くなり、快適になりました。
 

エアタービンは、一分間に三十万から五十万回も回転しますので、あのような高い音が出てしまいます。回転する羽に取り付ける刃先をバーとよび、その先端にダイヤモンドの粉末が付けられているのです。また、高速で削ると熱が発生するので、冷却するために刃先に向かって水が出て、正確に削れるよう照明装置が組み込まれています。

私は歯を削るときは必ず5倍の拡大鏡を使用しています。ダイヤモンドで歯を削るのですから、ミスは許されません!歯科治療を肉眼で行うには現代では無理があるような気がします。数ミリ単位で削ったり、詰めたりするのですから!拡大鏡は歯科治療に必ず必要です