夏本番による暑さで水分ばかりを多めに摂る日々が続きますが、そんな季節だからこそちょっと気になる言葉があります。「水太り」です。
一般的には体がむくんで体重が増加する状態を指すようですが、カロリーゼロの「水」と「太る」という概念がなぜ結びつくのか不思議なものです。
「All About 家庭の医学」でガイドも務める臨床検査専門医の西園寺 克先生によれば、「水には熱量がないので飲水しても太ることはありませんし、医学的にも『水太り』という用語はありません」とのこと。では世間的に「水太り」とされている現象は一体…?
「多くの場合、起床時における体全体の“むくみ”を指します。体内では老廃物排出を目的に1時間に約60ミリリットルの尿が作られますが、膀胱に溜められる量は200ミリリットル程度。そうなると、睡眠中も排尿が必要になりますよね? それを防ぐため、睡眠中は腎臓が老廃物の排出を調整しています。それにより、一時的に尿として出るべき水分が体内に溜まり、寝起きはむくむのです」
では、起床時に排尿すれば解消されると?
「起床後一度目の排尿で余分な水分をすべて排出できるわけではありませんが、排尿を重ねるごとにむくみは解消されていきます」
ちなみに体のむくみって女性が気にする印象がありますが、男女差はあるのですか?
「女性は性周期により一時的に水分が体内に留まりやすい期間がありますが、基本的には大きな男女差はありません。また、起床時に顔が特にむくむイメージが強いようですが、それは変化に気づきやすい部位だから。日常的に足がむくむという人についていえば、それは血流の悪化によるもので、ここでいうむくみとは別物。いわゆる『水太り』的なむくみは自然現象なので、体に悪影響はありません」
なるほど。それなら水太りって気にすることはなさそうです。ちなみに顔のむくみを早く取る方法はなく、利尿を待つだけだそうです。デートの日などは、朝のおしっこを忘れずに!