現在、歯周病は糖尿病や心臓病など全身の疾患に関わっていることが判明しています。
そんな中、大阪大学歯学部の和田孝一郎准教授らの研究グループの研究の結果、新たに非アルコール性脂肪肝炎(NASH)にも関与していることが分かりました。
教授らのグループは、非アルコール性脂肪肝炎と診断された102人から唾液を採取し、歯周病菌の種類を調査。その結果、歯周病菌の中でも悪玉菌である「P・ジンジバリス」の保有率は、健康な人は21%、脂肪肝の人は46%。脂肪肝炎の人は52%に達していることが分かった。
その上で、「P・ジンジバリス」を持っている非アルコール性脂肪肝炎の患者に歯周病の治療をしたところ、ALTとASTの数値が正常値まで戻ったという。今回の結果で特筆すべきなのは、非アルコール性脂肪肝炎が糖尿病や心臓病より歯周病との直接的な因果関係が深いということ。非アルコール性脂肪肝炎の患者の2人に1人は「P・ジンジバリス」を保有しており、保菌していない人に比べて、非アルコール性脂肪肝炎になる確率が4倍も高いことが示唆された。
日本において、非アルコール性脂肪肝炎を含む非アルコール性脂肪性肝疾患の患者数は約1500万人。肝疾患は自覚症状がないことが多く、放っておくと肝硬変から肝がんにまで進行する可能性がある。将来的には、歯科と医科が連携して治療に当たることが必要になってくるかもしれない。
歯周病治療の基本は歯周病菌を減少させる事、そのためには3~4ヶ月おきの歯科医院によるメンテナンスと家庭での歯磨きです。欧米では歯磨きにプラス糸ようじ(デンタルフロス)や歯間ブラシ・洗口剤を使用するのが常識になっています。是非、家庭での歯磨きは、新しい歯ブラシと糸ようじをお使い下さい。