ここからの内容は歯科医師しかわかりませんのであしからず(笑)少しだらだら長くなりますがご了承ください。
診療を初めて10年以上過ぎますが歯内療法は難しい治療の一つと感じています。私の感じる難しいと感じるのは、根管は解剖学的にかなり複雑であり、個人差が大きい、湾曲根管など確実に見ながら治療することが不可能(マイクロを使用しても)、レントゲンでしか確認出来ない項目が多い、確実な洗浄をすることが難しく、洗浄状態を確認する方法がない(無菌化は不可能で静菌化が限界ではないだろうか?!)、とくに感染根管治療は予後が著しく悪くなる、破折(クラック)の原因のものも多く、外科もしくは抜歯することにより発見出来ることもあり、術前の診断の不確実性等と色々とあります。
抜髄でも感染根管治療でも穿通の重要性は、異論は無いと思います。エビデンスもあると思いますし、穿通は術後疼痛の原因にはならないと思います。逆に根尖を機械的に壊していたり、穿通出来ていない方が疼痛の原因になると思います。
このSEC1-0は、1973年東海林芳郎先生によって開発され、そこ後現在まで購入可能なロングセラーの器具です。穿通の大切な事柄として、穿通をしたが根尖形態を壊してレッジは作っては予後が悪くなってしまいます。そのため手指でのファイルリングや回転器具等で穿通すると根管形態維持は難しく思いますし、手指では安定した運動は難しいと思います。
SEC1-0は360°のフリー回転と0.4㎜幅の上下運動のみになります。この、運動は手指では不可能です。
SEC1-0を穿通に使用する事になったのは、歯内療法専門医の清水藤太先生のセミナーに参加してからですが、実はその10年ぐらい前に生田図南先生のセミナーや高島憲二先生の専門書でも紹介されており、購入しましたが今一歩上手くいかず診療には使用しなくなってしまいました。(今考えると使用方法や治療に対する考え方が間違っていたのでしょう。)
現在、この動作をするコントラはナカニシとカボから発売されています(近年、カボは型番が変更されましたが仕様の変更があったかは未定)。価格の事を考えるとナカニシの物ですが私はカボ製をスススメします。理由は、注水の有無です。これがかなり重要となり、たぶん注水下で行う事により切削片やデブリ等が荒い流されながら形成が出来る、もしくは水が潤滑由の意味があるのかもしれません。(無注水でヒポクロやEDTAを入れて行っても良いとは思うのですが私は上手くいきません) また、購入価格をおさえるのでしたら、ヘッドだけカボにしてコントラ部をオサダ製にすると低価格にする事が出来ます。使用に全く問題がありません。コントラは等倍で15000回転の設定です。マニュアルには3000回転と書いてありますがこれでは上手くいきません。「ブンブン」言いますので患者さんには、使用前に説明する必要があると思います。
SEC1-0は手用ファイル専用ですが、マニー製ファイルは問題が無いですがGC製と松風製はかなりきつめです。(他のメーカーをスムーズに差し込み出来るか?を確認必要かと思います) ファイルはKファイルのみ、太さは#8 #10 #15のみでそれ以上の大きさのファイルは絶対に使用しません。#20以上ファイルは根尖を破壊する可能性が大です。ファイルは新品なもので使用前に必ず滅菌しておきます。特に、#8 #10 使い捨て感覚で1根管で湾曲が大きい場合は数本使用することも多いです。すこしでも曲がったら新品にするのがコツです。ファイルにプレカーブを付ける必要も無く、このことは360°のフリー回転ですので自動に根管を探してくれる感じです。これが感染根管治療でも手では見付けられない根管を同様で見つからない根管を自動で探し出してくれる感じです
ファイルを使うタイミングは根管孔が明示出来ればすぐに使用します。(感染根管治療ではガッタパーチャや不純物を超音波等である程度除去してからが良いと思います。案外、まっすぐと思った根管形態がかなり湾曲していたり外側に広がっていたり、#8のファイルが拡大後取り出して見るとファイルに根管の湾曲が3次元的に再現されていることがわかります(根尖付近でクリッと曲がっていることがわかります)
穿通の最大のコツは、手で穿通でも、SEC1-0を使用して穿通でも、ファイルを必ず根尖から2~3㎜出しながら穿通運動する事です。その意味で、#8を使用する時に根管長測定器をつけ、穿通している事を確認し、アペックスから2~3㎜の長さにファイルを調整して使用すると確実です。
その後、それぞれのシステムで根管拡大していただいても良いと思います。(詳しくは又の機会に書きます。)私は清水先生のシステムを導入してから1本もファイルやNiTiファイルを折った事はありません。詳しくは清水先生のセミナーを受講を薦めします。根管治療が必ず変わります!