歯の細胞使い肝不全・肝硬変を治療!

日本歯科大学の八重垣健教授と石川博客員教授らは、人間の歯から取り出した細胞を使って肝不全や肝硬変を治療する技術を開発した。ラットを使った実験で効果を確かめた。今後、ブタなどの動物で効果と安全性を確かめ、人での臨床試験(治験)の開始を目指す。

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歯の中心部の歯髄にある幹細胞は様々な細胞になる。研究グループは磁気を使って幹細胞だけを分離し、約3週間培養して肝細胞に育てた。

肝臓を切り出して急性肝不全にしたラットに注入すると、20日後に肝臓が元通りになった。肝臓に胆汁がたまって起きるタイプの肝硬変でも効果があり、血液中の白血球や尿素などの数値がほぼ正常値に戻った。八重垣教授は「移植後に悪性腫瘍になることはまずないというデータを得ている」と説明する。

再生医療では様々な細胞や組織に育つ幹細胞の働きが注目されている。親知らずや乳歯は抜いた後でも使えるため、石川客員教授は「歯髄の細胞を蓄えていつでも供給できる体制づくりを近いうちに始めたい」と話している。