第68回北海道歯科学術大会

土曜日は診療後 札幌で行われた第68回北海道歯科学術大会に参加してきました。夕方から神戸に移動でしたので少しの時間ですがデンタルショーと《特別講演 総義歯の3つのエッセンス》 講師は総義歯治療で有名な 齋藤善広 先生です。東京でも齋藤先生の講義を受けたことはありますが、何故か総義歯セミナーと聞くと聞きに行ってしまいます。

専門的になりますがゴシックアーチについてもう一度確認したい内容が聞けましたので勉強になりました。私も総義歯治療にゴシックアーチ検査を取り入れています。水平的な顎位を視覚的に客観的に確認する方法としては有効な方法と思っています。難しくしている事柄として顎堤吸収が強い方は咬合床が安定しなく運動が書きにくいことがあります。しかし、フレームカットバックトレーで印象することにより安定した咬合床が作成でき運動が描きやすいと思います。私は安定したタッピングポイントを重視した方法をとっています。保険・自費の義歯に関係なくバイトのズレは総義歯失敗の致命的なことになることが多いと思います。

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《今,保険の義歯をどう作るか》

《今,保険の義歯をどう作るかーより良いものを,より効率よくー》村岡秀明・内田雄望 著
1996年に発刊された《保険の義歯をどう作るか》の19年ぶりにリニューアル版が発売されました。前巻の本は義歯好きなら購入した人も多いのではないでしょうか?特に保険の・・・と書かれていると私のような保険医は興味を惹きますね!
現在、村岡先生といえば義歯の巨匠の一人かと思いますが、村岡先生と言えばコピーデンチャーを思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか?今回もムービーから切り取られた先生の臨床がパラパラ漫画のように見ることができます。
今回、楽しみだったのが内田先生の局部床義歯編です。全国の歯科医師に局部床義歯についてのアンケートを行いその結果が興味深い内容となっています。学術的な要因はあまりなく、臨床のコツが中心に欠かれていますので義歯設計を勉強したい方や技工士の方には少し物足りないかもしれません。あくまでもチェアーサイド側のコツです。1996年度版の方が初心者向けかもしれません。ページ数も違いますしね。
私もコピーデンチャーテクニックを使用して作製することもありますが、私の私感ですが現在の義歯の大きな問題がなくスペアーを希望している方、バイトを旧デンチャーを変えたくない方、他院で新義歯を作成し旧義歯の方が良かった方、往診等でスピードを求める場合等に有効と思われます。吸着義歯や大きな修正が必要な場合、特に保険の義歯の場合は新たに印象から始めた方が良いのかもしれません。
義歯好きなら一度手にとって見てください。
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総義歯の吸着印象法パーフェクトマスター

7月26日 盛岡が行われた《総義歯の吸着印象法パーフェクトマスター》セミナーを受講してきました。講師は亀田行雄 先生(埼玉県開業)と遠藤義樹 先生(岩手県開業)です。お二人共 総義歯で有名な阿部二郎先生の研究会のメンバーの方です。亀田先生は来期のJDAの会長になるそうです。

今回、盛岡には強行日帰りで行ってきました。もちろん観光はなしです(笑)受講したいセミナーがあればどこにでも行きますが盛岡は初めてでした。

多分、北海道からの受講生は私ぐらいなものだと思いますが、亀田先生からはIODについて、遠藤先生からは印象と個人トレーについての講演と実習がありました。休憩時間に亀田先生に色々と質問でき、たくさんの収穫がありました。盛岡まで行った意味はありました!この頃の私の総義歯は吸着にトライして良い結果が出ています(もちろん吸着が目的ではなく、咀嚼機能回復が主たる目的になるとは思いますが・・・)

模型のニッシンから吸着義歯のレプリカが出ているそうです。早速、チェックしてみます。実物があると、かなり形の違いがわかり、他の義歯よりスマートな感じがすると思います。まずはカットバックトレーからスタートが良いと思います。

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Frame Cut Back トレ-!!

義歯好きの先生ならご存知の方も多いと思いますが阿部二郎先生考案のFrame Cut Back トレ-についてです。(今回は専門的な話になりますが・・・・)下顎吸着義歯作製の一つのテクニックとして紹介されています。

2004年頃は、金属トレーを改造して1種類のアルジネート印象材のみ使用して閉口印象していましたが 近年はモリタからFrame Cut Back トレ-が発売されより臨床に導入しやすくなりました。

私の総義歯作製にも導入を試みて2004年頃はなかなかうまくいきませんでしたが 今年になって阿部二郎先生のお弟子さんのセミナーを受講して 再度導入してみました。

方法としては、2種類のアルジネート(固練りと柔らか練り)とシリンジを使用して閉口印象していきます。詳しくはセミナーや専門書を御覧ください。

この方法で、すべて保険での総義歯に使用してみた感想です。現在は下顎顎堤吸収が進んだ症例は珍しくなく よく遭遇すると思います。Frame Cut Back トレ-を印象すると今まで行っていた印象と比べると心細い感じがすると思います。しかし、この印象がデンチャースペースにフィットする感じがします。大きすぎず小さすぎず 口腔内を見ると人工歯だけが見える感じです。私の技術ではすべての症例で吸着義歯はできませんが、それでも開口時の安定はいい感じだと思います。もちろん、バイトや咬合 が関係していることは確かだと思いますが 閉口印象による効果は高いと思います。騙されたと思って下顎印象をFrame Cut Back トレ-を使用してみるとその感覚がわかると思います。

印象後の咬合床の外形線を少し小さめでその後 テッシュコンディショナーとシリコン印象材を使用して機能精密印象していきます。特に顎堤吸収が進んだ症例では顎堤がどこか解らず外形線に迷うことがありますが このトレーでの印象法は 口腔内がそのまま印象になるので外形線もわかりやすいです。(最終辺縁はテッシュコンディショナーとシリコン印象材で厚みと辺縁を作り出します)義歯に興味のある方はオススメです。

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