〔臨床家のための歯科小手術ベーシック〕

 
臨床家のための歯科小手術ベーシック 白川正順 監修・著(医歯薬出版)
 
この専門書の著書は、私が在籍した日本歯科大学 口腔外科 大学院時代の教授である白川正順教授の書籍です。また、共著の先生方は私が大変お世話になりました先生が多数かかれています。
私のような開業医は、癌治療の様な入院の必要な手術を行うことはありません。しかし、抜歯や移植・再植や歯ぐきの治療等で小手術といわれるものは普段の治療で行うことも多いです。
そんな小手術を口腔外科の専門医が一般臨床医のために書かれた専門書です。
多数のイラストを症例が載っており大変ためになります。自己流の外科をやっていたことに気づくことが多いのではないでしょうか?!綺麗にまとまっています。最新器具を使用せずに現在ある器具で綺麗な外科手術が出来るように手ほどきされています。
この専門書で、基本外科治療や小手術の視症例視野を広げてみてはどうでしょうか?
 

「リンガライズドオクルージョン」

「リンガライズドオクルージョン 義歯の咬合・インプラントの咬合」松本直之・市川哲雄 監著 永尾寛・友竹偉則・石田雄一・石田修 著 医歯薬出版
 この専門書は咬合の基本的な考え方から臨床までを広く扱っています。
 咬合学は歯科学において避けては通れない学問です。また、理論も様々あり混乱しやすい内容かも知れません。
 このリンガライズドオクルージョンは1970年に発表された咬合論で現在の義歯の咬合論の中心の咬合論だと思います。(Payne Modifide Set-up法・Gerberの顆路説等もありますが・・・)
 私の臨床でも総義歯治療はリンガライズドオクルージョンを与えることが多く、臨床にも応用がしやすいと思います。
 そのリンガライズドオクルージョンの咬合論・排列・咬合調整法が書かれています。症例も載っていますが私としてはもっと症例を増やしていただきたいところです。
 また、インプラント咬合論にも少し記載がありますが、現在もインプラント咬合には結果は出ていませんが側方力を避け顎堤に対して垂直方向に力をコントロールするリンガライズドオクルージョン咬合は理にかなっていると思います。
 100ページの本ですので気軽に勉強できるのではないでしょうか?!今度、続編で症例集なんて見てみたいものです。

「支台歯形成のかんどころ」

「支台歯形成のかんどころ-うまい形成 下手な形成-」 嶋倉道郎・田中卓男 著 クインテッセンス出版
支台歯形成について初心者向けにエラーの多いところなどを丁寧に書いてあります。
実際の臨床ではなく模型写真を中心に編集してあります。私としては臨床例も載せていただきたいところです。
この頃注目されている、接着ブリッジの形成についても載っておりお得な感じです。小冊子もついていますが私にとってはあまり使い道がわかりませんでした。オールカラーで写真が多いので読みやすいと思いますよ。
支台歯形成は、一つ一つのポイントをチャックし、全体のバランスをみて丁寧に形成することが大切で、しかし、長時間の開口は患者さんが苦痛ですのでスピーディーに形成することも必要ですよね。
私も、形成はけして上手ではありませんが、日々自分の形成を見直すことが大切と思います。
この専門書は、自分の形成をもう一度見直すいい機会になるのではないでしょうか?

《1枚の写真ではじまる12人の義歯臨床》

《1枚の写真ではじまる12人の義歯臨床》 村岡秀明 編著 デンタルダイヤモンド出版

日本で著名な総義歯 臨床医が12人がそれぞれの総義歯に対する思いや作製方を書いてあります。一人5ページ以内で書かれています。5ページだと深い内容は書かれていませんが一人一人の先生が総義歯の大切なポイントが書かれており、中にはマニアックな考え方もありますが、それも含めておもしろいと思います。

この本を読んで、興味のある先生があれば、その先生の追っかけにになる機会になるかもしれません(笑)

私的には、染谷成一郎先生のフラビーガム症例の考察がおもしろく読ませていただきました。

日本には沢山のすばらしい臨床歯科医がいます。匠の技で作製される先生のいます。専門書を読んだり、講習会に参加しますと、明日からすぐに臨床に取り入れられそうですが、そうも行きません(汗)やっぱりそれなりの結果を出すには、沢山の経験や失敗を重ねる事が大切です。もちろん向上心も大切です。

この材料を使用すれば・・・完璧!、この機材で作製すれば・・・簡単! なんて甘い言葉にだまさせないように(笑)総義歯の道は険しいと思います!!

でも、好きこそものの上手なれですからね(笑)