《写真でマスターする顎関節症治療のためのスプリントのつくり方・つかい方》

《写真でマスターする顎関節症治療のためのスプリントのつくり方・つかい方》 鱒見進一・皆木省吾 編著 ヒョーロン出版

スタビライゼーションスプリント(主に顎関節症に使用されるマウスピース)に作製方法・調整方法がビジュアルを中心に書いてあります。上顎スプリント・下顎スプリントにそれぞれ書いており歯列叢生(2級・3級・クロスバイト咬合)時のスプリントについても書いており勉強になります。しかし、患者臨床例は載っていないのが残念ですが、本の題名のごとく作製方・技工方に特化した内容だと思います。写真が中心ですので、見やすく、読みやすいと思います。

現在、私の臨床では顎関節症治療にはTCH是正(歯列接触癖)治療を中心に行っていますがスプリント治療を行うこともあります。また、両治療を併用して行うこともあります。

顎関節症は要因は、1つだけで無く、様々な要因が関係していると言われています。かみ合わせ・姿勢・生活習慣・ストレス・・等。その複合的な要因を少しずつ排除しながら経過観察する治療法が現在の主流となっていると思います。また、現在、顎関節治療は不可逆的な治療は否定させつつあります(諸説ありますが・・・)、しかし、第一選択は可逆的な治療だと思います。

 

《新 楽しくわかるクリニカルエンドドントロジー》

《新 楽しくわかるクリニカルエンドドントロジー》 小林千尋 著 医歯薬出版

9年前に出た《楽しくわかるクリニカルエンドドントロジー》のリニューアルバージョンです。ページ数も186ページから248ページに増えております。(価格も・・・)

わたしも9年前、まだ歯内療法はよく分からず先輩から薦められて読んだのがこの本でした。

今回は、前回から大幅リニューアルされており、読み応えがあります。小林先生は、デンタポートやトライポート(根管治療器)の作製者でもあり、デンタポートは世界的にも認められています。小林先生の著書は、術式等の紹介だけで無く、ご自身が経験して、これは良い・これは難しいといった個人の意見が書かれており、先生の考え方ものぞき込み事が出来、読んでいてもおもしろいです。根管洗浄の大切さ・難しいさを勉強させていただきました。根管洗浄機器の発売を楽しみにしております。

歯内療法を保険治療で金銭的な利益を上げるのは難しい治療と言われています。また、歯内療法は歯科医師の良心とも言われています。過去のブログにも書きましたが、この歯内療法は建築に喩えると土台作りです。見た目が良くても、土台がしっかり治療しないと細菌による汚染されすぐに崩れてしまいます。だから、手は抜けません!!

また、良い治療結果を導くために、歯科治療はしっかりと見えなくてはいけません!私も、10年前は感覚的な治療法を行っていたこともあります。しかし、現在では10倍の拡大鏡を使用し(通常の歯科治療が2~3倍ぐらいの拡大で行っている先生が多いと思います)、しっかり肉眼で確認し精密治療を心がけています。

《イラストレイテッド歯冠修復アドバンステクニック》

《イラストレイテッド歯冠修復アドバンステクニック ーハンズオンで学ぶ製作ステップの勘所:天然歯&インプラントー》 クインテッセンス出版 土屋賢司 著

PART1 支台歯形成編   PART2 プロビジョナルレストレーション   PART3 印象採得編   PART4 補綴製作編   PART5 インプラント補綴編   計5編からなります。

土屋先生は審美歯科のプロフェッショナルで日本を代表する臨床医です。綺麗な写真とわかりやすいイラストを中心にまとめており、それぞれのポイントが書いてあり、そのステップまでの制限時間が書いてある点もおもしろいと思います。写真は実際の臨床の写真が中心ですので嬉しいですね。写真を見ているだけで、こんな綺麗なテクニックに近づきたいなぁと思いました。

技術は観ているだけでは上手にはなりませんが、歯科診療では頭の中で完成のビジュアルを描けないとなかなかゴールに近づきません!全顎治療を行うにしても1歯1歯に集中して治療しなければ結果は×。 たぶん土屋先生も大変な努力をされて現在があると思います。私も、30代もあと少しになりませんが40歳までに自分の目標に努力しなければ!険しい山ほど、登るには大変ですが、頂上の景色は絶景だと思います(笑)

 

《インプラントファーストステップのためのQ&A135》

《インプラントファーストステップのためのQ&A135~インプラント治療成功へのフォロー~》 クインテッセンス出版 塩田真・藤森達也 著

私はインプラント初心者ではありませんが、患者さんの個体差は大きく、いつどんなときでもインプラント治療は気が抜けません!

この本は、インプラント初心者向けの内容になっていますが、Q&A形式になっており、自分が知りたい内容を探すことが出来るので便利です。初心者向けですのでそれぞれの項目が簡潔に書いてあります、この1冊ですべて勉強できるわけではなく、より深く勉強するきっかけになるのではないのでしょうか?!症例集ではありませんので、その辺が残念ですが、自分の知識の確認のために役立ちます。

父(三嶋顕理事長)のもとインプラントを勉強して10年近くたちますが、インプラント治療は、歯科治療の中でも知識と技術と経験が特に必要であり、また、患者さんとのコミュニケーションがとれてはじめで行える治療かと思います。

インプラント治療での恩恵は大きいですが、それに伴うメンテナンスも患者さんと共にきちんとケアしなければなりません!私自身が、インプラントが自分の口の中にあるのでしっかり噛めることは自分が1番分かっております。

初心忘るべからずとは、良い言葉ですね。

どんな症例でも、一生に1度しか出会うことが出来ない症例と考え、万全の準備やシュミレーションでインプラント治療を行うべきです。片手間治療や天狗治療(こんな治療楽勝さ!みたいな考え方)はけしていけません。

歯は皆さんの健康を保つための最初の入り口ですものね。