《補綴臨床MOOK 無痛デンチャーの臨床》 医歯薬出版 中尾勝彦 著
この専門書は2002年の発売された書籍で、しばらく絶版でしたが近年になって再版されました。
総義歯の専門書ですが、桜井唯次先生の臨床を中尾勝彦先生がまとめた唯一の専門書です。桜井先生は50歳過ぎから総義歯研究を行い、全国で講演を行ったそうです(残念ながら私は受講できませんでした)。
この本を探していた理由は、私の総義歯治療でこの高齢社会になって増加している咬合(かみ合わせ)の不安定な患者さんの義歯は頭を悩まします。総義歯を勉強していく中で、この作成法を知りました。
桜井式デンチャーはフラットテーブルを付加した治療義歯を使用して、トレーニング後に安定した完成義歯を作製する方式をとっています。
現在、北海道では桜井式総義歯を導入している先生は少なくですが、全国には桜井先生の理論を引き継いでいる先生はいます。銀座で開業されている深水皓三先生もその一人で、より発展させた総義歯論になっています。来年、深水先生のコースに参加予定です。
この専門書はオールカラーで総義歯作製順に臨床写真を中心に掲載されています。現在でも十分通用する内容で、大変勉強になります。材料もほとんど現在でも手に入る物です。皆さん、また絶版になる前に購入してみてはいかがでしょうか?
「専門書レビュー」カテゴリーアーカイブ
《日常臨床の疑問に答えますQ&A70》
《日常臨床の疑問に答えますQ&A70 今さら聞けない!でも知っておきたい歯科医療の基礎知識 》 医歯薬出版 武藤晋也 監修
2009年に発売された「若い歯科医師の疑問に答えます Q&A70」の専門書第二弾です!
私が専門書を選ぶときに「若い歯科医師の・・・」「基礎知識・・・」なんて題名に惹かれます。私は37歳歯科医師でけしてヤングデンティストではないですが、気持ちは若い歯科医師に負けていません(笑)
この専門書は、見開きでほとんど内容が完結していますので読みやすく、内容的に浅い部分もありますが新たに深く勉強するきっかけになるのではないでしょうか?!
前書に比べてジルコニア・根管治療・レーザー・インプラント・エムドゲイン等の自費治療を中心に記載が多く、また、日常診療で早期発見が必要な口腔癌についての記載もありますので参考になりますよ!
日常臨床では色々な疑問になることもありましたが、経験で分かることもありますが、エビデンスレベルでの理解が足りないこともあります。このような本を読んで理解を深めるのが大切なような気がします!頑張ります(^O^)
《新・顎関節症はこわくない》
《新・顎関節症はこわくない》 砂書房 木野孔司・杉崎正志・和気裕之 著
この本は題名のごとく顎関節症の本です。専門書では無く一般向けの書物です。大きなイラストが多く、待合室や患者さん説明用に良いと思います。私も患者さん説明用に使用しています!この本の前の本は絶版になっており、今回購入することがやっと出来ました。
著者の一人の木野孔二先生は東京医科歯科大学で顎関節症治療を行っている専門医です。私も先生の直接勉強させていただきました(過去のブログを参照)。そこでこの本を使用し患者さんに説明していました。私もTCHの是正を中心に患者さんに顎関節治療を行っています。
現在の顎関節症治療は世界的に見ても咬合調整・外科的な治療等の不可逆的な治療は否定されつつあります。北海道ではまだまだTCH(歯の接触癖)の言葉すら普及していません。効果のある治療法と感じています。現在、専門書はありませんので(歯科展望に掲載されたことはあります)是非、歯科医師の方も読んでいただきたい一冊です。
《How to Endodontics》
《ビジュアライズドイラストレーションズ How to Endodontics The State of the Art》クインテッセンス出版 寺内吉継 著
歯内療法の専門書です。アメリカ式歯内療法の手技や理論を細かく勉強することが出来ます。歯内療法は、世界的に見てもアメリカが最新治療を行っているようです。
オールカラーで顕微鏡下の写真も多数掲載されています。また最新の機材の紹介も多数載っています。
すべての症例を顕微鏡下・自費診療での歯内療法ですので私のような保険診療で歯内療法を行っている歯科医師にとってすべてを導入することは難しい部分のあると思いますが、複雑な見えない歯根を頭の中で三次元的に考えたり、Access Cavityの章は大変勉強になります。
私もこのAccess Cavityをしっかりすることがその後の根管形成に影響が大きく、根充にも影響が出てくると思います。また、MB2(上顎大臼歯近心頬側根第二根管)の存在も拡大鏡(10倍)を使用しますと、かなりの大臼歯で発見できることが多く、MB2を治療することにより症状の沈静化することが多いと思います。
本書は症例数が少ないのが残念ですが、歯内療法アドバンスコースの専門書だと思います。自分の一つずつの行程を見直すには最適ではないでしょうか 🙂