《これならできる 明快総義歯作り》松下 寛著(砂書房)
副題に総義歯規格作製法と書かれている本である。100%の総義歯を目指すのではなく、80%の総義歯を目指そうという著者の考え方が面白い。確かに、いきなり達人の領域に行くのは無理ですし、まずはスタンダードな総義歯しっかり作りましょうっと言ったところでしょうか。作製方法は上下アルジネート2重印象(ウオッシュ印象)を行い、下顎のみテッシュッコンディショナーで咬座印象を行う作製方法です。各項目を規格化し、解りやすく解説してあります。総義歯作製の初心者や各項目の見直しに最適ではないでしょうか。超高齢化が進み、口腔内状況はみんなが難症例になりつつあります。患者さん個別の診断をおこない、患者さんにあった方法で総義歯作製が必要となってきました。引き出しは沢山なければなりません。その引き出しを作る良い教科書になると思います。DVDも販売されていますが又の機会に紹介します。
「専門書レビュー」カテゴリーアーカイブ
《インプラント・口腔外科のための手術の基本と外科解剖》
《インプラント・口腔外科のための手術の基本と外科解剖》 香月 武 内田雄基 著(クインテッセンス出版株式会社)
この本は、インプラント治療を中心に手術の準備・器財・切開方法・縫合方法などを大きな写真と模式図で説明しています。また、解剖では実際の人体解剖で神経走行などを示し、理解しやすいと思います。臨床よりの必要不可欠のインプラント解剖書っと言ったところでしょうか。外科治療は経験も必要ですが、解剖的な知識は必要です。単純な切開でも必要になります。頭のなかで立体的にイメージできるように日々、専門書を眺めて訓練の必要があると思います。
《3Mix-MP法とLSTR療法》
《3Mix-MP法とLSTR療法》星野悦郎 宅重豊彦 著(株式会社ヒョーロン・パブリッシャーズ)
私が3Mixを初めて勉強した教科書です。3Mixの成功の秘訣は、薬の管理と確実な密閉(封鎖)が必要のようです。カリエスがあり、歯髄の保存することは歯科医師としてまず考えることです。この治療法ですべてを救うのは難しいとは思いますが、確実に救済の%は上がっているのではないでしょうか。本は各症例別に使用方法が細かく記載されています。また、この治療方法とは目的・概念について記載されています。少し古い本なので現在の方法とは多少異なりますが。これからいう先生は必読だと思います。ここまでして神経を残す意味を考えさせられます。
《エンジンファイル ON》
《エンジンファイル ON》 阿部 修 著 (デンタルダイヤモンド社)
歯内療法における根管形成時のファイリングをニッケルチタンファイルを用いて使用する方法の解説書です。私も9割がニッケルチタンファイルによる根管形成ですが、どんな治療法にも長所と短所があります。ニッケルチタンファイルの場合、金属の性質上、突然破折することと手用ファイルと比べて高価であることでしょう。この本は、すべてをニッケルチタンファイルで行うのではなく、手用ファイルによる道筋を作ってからのニッケルチタンファイルに移行し破折の危険性を回避しています。適材適所に治療道具をうまく使い分ける事が必要です。阿部先生はもとパイロットという歯科医師としては珍しい略歴をおもちです。本文にも両職業についてコラムがあります。私の経験上、ニッケルチタンファイルに変えてから術者のストレスはかなり削減したことは確かです。しかし、ルールは守って確実な治療を。