「What is Suction Denture ?」

「開業医のための実践デンチャーシリーズ4 What is Suction Denture ?」 佐藤勝史 著
下顎総義歯吸着で有名な阿部二郎先生のお弟子さん(?)の佐藤勝史先生の書かれて総義歯の専門書です。
この専門書は書物というよりも写真集に近い作りになっています。文章は最小限の事だけ書かれておりビジュアルで学ぶ形に編集されています。書物として美しい仕上がりになっていると思います。本にも書かれていますが診療中のカンニングペーパーとして活用を考えた上でこの様な編集になったのかもしれません?!
総義歯も下顎総義歯のみの記載で印象を中心に書かれており、上顎義歯について・バイト・排列・重合等の記載がほぼありません。上顎義歯の嘔吐反射の強い方や吸着が難しい場合などが臨床では悩む事もあります。その辺の記載も欲しいところです。阿部二郎先生の理論を簡潔に書かれており、中には物足りないと感じるかもしれません。阿部二郎先生の本を読んでからをオススメします。
症例集等もなく、先生の様々な症例も閲覧してみたいところです。総義歯は、個人差が大きく口腔状況・患者さんの要求度や全身状態の違いが製作に関わることも多いと思います。特に水平的バイトのエラーは致命傷になることがあります。
後半に吸着が得られない時の救済処置が書かれており自分の義歯のチャックポイントになり役立ちます。
あくまでもビジュアルブックとしての専門書と言ったところでしょうか?若い方には最重要項目のみの方が頭に残るのかもしれません!
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歯周治療って面白い! マンガでわかる考え方とテクニック 1.基礎編

歯周治療って面白い! マンガでわかる考え方とテクニック 1.基礎編

松井徳雄・浦野智・佐々木猛・山内忍・水野秀治・佐々木康宏・小野善弘 著

少し前の前の専門書になりますが、ある機会で読むことになりました。全2巻で今回は上巻と言ったところでしょうか。

この本は、新米歯科医師の歯周病治療を中心に切磋琢磨していく様子をマンガでわかりやすく書いてあります。

大変、おもしろく歯科衛生士の方でも十分楽しく読むことが出来ると思います。理解しやすい内容として新米歯科医師が先輩から学んだ内容に疑問を持ち、知識を深めていくのですが、その疑問が歯科医師なら同じ疑問があり、まるで自分が質問しているような錯覚になります。また、各章を細かく分けていますので、「今日はここまで勉強、明日はここから!」みたいな感じで読書出来ると思います。実際連載をまとめたようでその事が読みやすくなっていると思います。難しい本が嫌いな方や気軽に勉強したい方にはとっておきではないでしょうか?内容もけして古くはないと思いますよ。歯周病の勉強始めの最初のステップとして最適ではないでしょうか?下巻も読破したいと思います。

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「ライフステージと歯内療法」

「デンタルダイヤモンド増刊号 ライフステージと歯内療法ー歯の長期保存のためにー」 デンタルダイヤモンド社興地隆史・井澤常泰・石井信之・木ノ本喜史 編集委員
歯内療法の専門誌です。今回の専門書の切り口は、幼児・若年者・成人・高齢者の世代別の根管治療のトピックや問題点について、書いてあります。
多数の先生の共著ですので、それぞれの項目が4~5ページでまとめており、コラム的に読むことが出来ますので自分の興味のある内容から読書が出来ます。参考論文も多数書いてありますので検索することでそこからより深く勉強することも出来ると思います。
私としては若年者の根管治療の項目で根管未完成歯の治療については勉強になります。若年者でも神経の治療をしなければならないこともありますので。また、小林千尋先生の根管洗浄の項目もおもしろく、小林先生的な内容になっています。先生の推奨する根管洗浄装置はいつ頃完成し発売するのでしょうか・・・?
根尖を確実に洗浄するのは実際難しく、効率的に洗浄するためにも6°テーパー以上のついた根管形成は必要ですし、穿通も予後に関わることもわかっています。
MTAの紹介もされていますが、予後は良いようですが、取り扱いの難しさと高価な材料ですので保険診療では使用できない等の問題点がクリアーになれば・・・使用してみたいですが・・・。
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《総義歯臨床のHands-on》

《総義歯臨床のHands-on “保険&自費”どちらにも対応します》 松下寛・杉山雅規 著
総義歯の専門書です。著者は東京で開業の松下寛先生です。先生は過去にDVDで「明快総義歯作り」等を出されている先生です。
今回は、技工作業の項目は少なく、診療所サイドでの作業のポイントを中心に書かれています。特に、咬合調整・咬合採得・印象(特に吸着義歯について)も書かれています。また、症例も多く、勉強になります。
吸着義歯に関しては阿部二郎先生の理論を元に先生なりの解釈をくわえ義歯外形を中心にわかりやすく解説されています。
私しては、咬合調整部の部分が大変わかりやすく、総義歯特有の咬合があり、一見噛んでいる様に見えても実は変位していたりとエラーを見逃すことがあります。そのあたりの内容が臨床で実際に応用出来る内容で書かれており勉強になります。
また、症例において、精度の高い金属床を薦める注意事項や必ずしも新製義歯にすることが治療ではないことが書かれています。
大変、臨床医よりの内容になっており、明日からの診療にいかすことが出来る内容になっていると思います。また、著者の義歯に対する姿勢も感じることが出来ます。
オススメです!
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