《写真でマスターするきちんと確実にできる全部床義歯の試適・装着》

《写真でマスターするきちんと確実にできる全部床義歯の試適・装着》 水口俊介・飼馬祥頼・菊池圭介 著

写真でマスターする総義歯シリーズ3部作の最終作が発売されました。

もちろん、3部作ともに購入しました。今回のテーマは試適と装着。今回もオールカラーでパラパラマンガの様に写真を中心に書かれていますので文字嫌いの方には読みやすくビジュアル本ですのでオススメです。

内容としておもしろいのはいわゆるエラー症例や難症例の対応についてです。総義歯では名人の方でも必ずエラーが発生します。総義歯のうまい先生はそのエラーが製作途中で発見し修正するのが上手で、初心者は完成時に気がついたり、何とかなるでしょう精神でスルーすることが後々問題が起きること多いと思います。エラーを発見したら迷わずリトライすること(保険の総義歯作製ではリトライの点数は存在しませんが、やるべきでしょう!)が重要と思います。

作製中のチェックポイントを押さえながら修正することが成功の近道の様な気がします。そんなチェックポイントを整理するのに適切な教科書ではないでしょうか?!

今度はDVDでシリーズ化するのかもしれませんね(私の勝手な予想ですが・・・)

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《成功に導くエンドの再治療》

今年最初のレビューになります。何冊かの本を並列しながら読んでいましたので遅れてしまいました。

《成功に導くエンドの再治療》 牛窪敏博 著

歯内療法専門医の牛窪先生の2冊目の本になります。前回の本は、一部共著ですので、単独の専門書は今回が初めてだと思います。前回のクインテッセンス出版の本の焼き直しに近い内容になっています。歯科展望に連載した物を1冊にまとめてありますので、各章がコンパクトにまとめてあり読みやすいです。内容は、クインテッセンスの方が詳しく書かれているような感じがしますが実践臨床家向きの内容になっています、そして今回の売りは動画とリンクしているところです、各章の内容のポイントがインターネットのページとリンクしており動画を閲覧出来ます。私としては、長編物が1つほしかったところですね(スタートからゴールまでの)、でも、マイクロを使用した動画ですのでライブ感があり、より内容が理解しやすいと感じました。

私は普段の診療で抜髄症例よりも感染根管治療の方が割合が多く、難治性と思われる症例もあります。この本のようにステップステップのポイントの重要性を強く感じますし、最初の抜髄治療のしっかり治療することが感染根管にしないポイントの1つと感じました。また、この頃は私自身歯牙解剖(根管解剖)の重要性も改めて感じていますが、今回の専門書では根管解剖についてはアッサリな感じを受けました。最後にQ&Aが載っていますが、文字だけで無く症例や図などで説明していただくともっとわかりやすかったと思います。

MTAセメントの素晴らしさは近年言われていますが、コストや操作性の問題点から私は使用したことがありませんが、使用してみたいなと横目でうらやましがっています。

感染根管を勉強したい方や根管治療に困ってる方は、読んでみると臨床ヒントがあるかもしれません!オススメです!!

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《パーシャルデンチャーを得意になろう!》

s-6527《パーシャルデンチャーを得意になろう!~設計原則からトラブル対応までの臨床ガイド~》 五十嵐順正・若林則幸 編著

久々の専門書レビューです。今年の前半に購入したのですがレビューし忘れていました。昨日のパーシャルデンチャーの講習会を受講したので見なおしていまして、レビューに気が付きました(笑)

日本で唯一の局部床義歯講座のある東京医科歯科大学の五十嵐教授の著書です。月刊歯科評論で掲載されてものを中心に加筆したものです。オールカラー 総数176ページ

多数歯欠損の治療としてはインプラント治療もありますが、現実は局部床義歯症例が多くを占めていると思われます。

この専門書には、クラスプデンチャーを中心に症例が多数紹介されている・保険診療にも言及している・ブラキシズムやすれ違い咬合治療・義歯装着後のトラブル等広範囲に書かれています。

先日のブログでも書きましたが、現在総義歯を勉強する環境(講習会や専門書)は整っていますが局部床義歯となるとなかなかありません。しかし、診療の割合からいうと総義歯より局部床義歯治療の方が多いのではないでしょうか?

この本の最後には若い歯科医師に向けての大先輩からの助言が書かれています。私は中堅歯科医師ですが、十分勉強になる内容です。お勧めですよ!

 

《保育者が知っておきたい子どもの歯と口の病気》

《保育者が知っておきたい子どもの歯と口の病気 -その対応と予防-》 朝田芳信 著

今回の専門書は、0~小学校低学年までの口腔管理について書かれている保護者向きの一般書になっています。

20世紀は子供の虫歯が沢山おり、歯科医院でも多数の虫歯治療が行われて来ました。しかし、21世紀になり少子化や保護者の口腔管理の向上もあり、虫歯が激減し、そして歯科予防の確立、現在に至っています。しかし、完全に虫歯がなくなったわけではなく、いわゆる虫歯の二極化し、食生活の環境変化・両親の共働きによる育児不足等の問題から歯並びや顎関節症の問題が現代病となってきています。ストレス要因も大きく関与してきていると言われています。

この本はそれぞれの保護者が育児中に口腔内の問題に対し簡潔にわかりやすく見開きでそれぞれ解説し、読者が悩んでいる内容から読むことができ、実用性があると思います。また、内容も現在の社会状況に合わせた項目になっています。

私が今回購入した理由として、保護者の方から色々な質問に対して適切にわかりやすく説明したいため参考資料として購入しました。そういった意味で歯科医師が読んでも勉強になります。小児歯科専門医にとっては常識なのかもしれませんが・・・。

自分が理解していることを他人にわかりやすく説明することは難しく、そんなとき一般書がヒントになることも多いと思います。

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