〈写真でマスターするきちんと確実にできる全部床義歯の咬合採得〉

〈写真でマスターするきちんと確実にできる全部床義歯の咬合採得〉水口俊介・飼馬祥頼 著

今回の専門書は、総義歯における最重要行程〈咬合採得〉に特化した内容の専門書です。私個人的に期待大の専門書でした。

総義歯治療において、私の考えですが印象より重要な行程で、垂直的顎間関係ある程度(5㎜前後)の幅がありますが、水平的な顎間関係はかなりシビアだと思います。

本書は、題名のごとく写真をムービーの様に分割して掲載されており、どのページを見ても写真だらけです(笑)、ぱらぱら漫画的な構成になっています。

また、咬合床の作製やゴシックアーチの作成法などの技工法も掲載されています。顎堤状態の悪い症例や反対咬合の症例も載っており勉強になります。

初心者には、難しい咬合採得ですが、経験者の方も勉強になる内容になっていると思います。写真だけでなく、写真の下に書かれたコメントが重要な事が書かれています。

私としては満足な内容でとても勉強になりました。咬合採得でお悩みの先生がいらっしょいましたら読んでみてはいかがでしょうか?

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《臨床根管解剖》

《歯内療法 成功への道 臨床根管解剖 基本的知識と歯種別の臨床ポイント》 木ノ本喜史 著 

歯内療法(根の治療)専門書です。180ページ オールカラー

個人的に歯の解剖を勉強したくて購入してみました!この頃、歯内療法治療を行っていますと改めて口腔解剖(歯の解剖)の重要性を認識しているもので・・・。

木ノ本先生が「はじめに」の章で書かれているように歯内療法学の名著「Pathways of the pulp」〈ちなみに日本語版はありません,現在まで10版まで発売されています。私は未読(笑)〉に負けないように日本での最高・最新の教科書を目指したというだけにかなり充実した内容になっております。

題名のごとく歯の解剖を上顎・下顎、前歯部・臼歯部を詳細に書かれています。また、著書は臨床医であり、臨床よりの内容になっており(臨床テクニックも書かれています)、私の様な開業医には読みやすい内容になっています。所々にコラムが書かれておりこの内容も重要な事が書かれています。所々に世界の論文を引用して書かれていますのでそれぞれの項目に説得力があります。

初めての歯内療法を行う初心者歯科医師には経験不足から理解が難しい内容もあるかもしれませんが、数年臨床経験あり、より歯内療法を勉強したい歯科医師には良書ではないでしょうか?!

今後もこのシリーズは続く予定の様ですので楽しみなシリーズになると思います。

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〈部分床義歯の設計と咬合〉

〈部分床義歯の設計と咬合 インプラントより義歯で治す31提言〉 丹羽克味 著

「咀嚼・咬合論」の作者 丹羽克味 先生の義歯の専門書です。

2011年に総義歯の専門書が出ており、その第2弾の局部床義歯編です。総義歯の専門書はニーズもあることで専門書は多くありますが、局部床義歯になりますと少なく感じます。実際の臨床では局部床義歯治療の方が多いのではないでしょうか?

この専門書は、図が多く、提言ごとに章が分かれており臨床医には読みやすい専門書になっていると思います。31の提言として丹羽先生が様々なアドバイスが満載です。実際の臨床を沢山行った結果得られた内容が多く、臨床医には納得する内容もあり勉強になるのではないでしょうか。

本の中で先生は、装着後の咬合のチェックや義歯の適合を必ず長期的・定期的に行う必要を強く訴えております。私の同感です!義歯は生涯無調整は不可能と考えていますし、装着時問題がなくても数ヶ月後・数年後には必ず修正が必要と思います。

丹羽先生の咬合論(リンガライズドオクルージョンとグループファンクションを中心とした咬合論)には賛否両論あると思いますが、特に義歯の咬合はシンプルに考えることも必要と感じています。患者さんが噛みやすく、歯科医師が確実に付与しやすく、経過を観察しやすい咬合が適切な咬合ではないでしょうか?皆様はどう考えますか?

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設計を技工士任せにするのではなく口腔を診査を直接することの出来る歯科医師が積極的に行う事が必要と思います。たとえ、保険の義歯であろうと・・・。

 

 

「保険総義歯のススメ」

「保険総義歯のススメ  箸の文化に適応した、前歯で噛み切れる」  河原英雄・松岡金次・河原昌二・須呂剛士・河原太郎 著 クインテッセンス出版

久しぶりに保険総義歯に特化した参考書です(昔、村岡秀明先生が保険義歯の専門書を出しています)。オールカラーで上質な紙に印刷され、写真もとても綺麗です。

内容は、特に排列(咬合調整)を中心に書かれています。印象・咬合採得はサラリといった感じで義歯形態や外形については全く書かれていないのが残念です(総ページ:50ページ)。DVDも17分間のダイジェストな感じの物になっています。総義歯の専門書にしては低価格だなと思いましたが内容も物足りない感じがします。

欧米人の食生活にはリンガライズドオクルージョンでも良いが、日本人には前歯でかみ切れるフルバランスドオクルージョンが適切であると本書に書かれています。

症例も1症例しか載っておらず、残念な感じですが、今後、続編が準備されているのでしょうか?(詳細編とか?応用編とか?)

著者の河原先生は著名な先生で初めての義歯の専門書で私は飛びつきましたが、もう少し詳細な内容と症例を見てみたいです。続編に期待!!

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