「教科書にのせたい義歯診療のコツ」

教科書にのせたい義歯診療のコツーQ&Aで学ぶ臨床ヒント集ー 佐藤裕二 著 永末書店

総義歯・局部床義歯の専門書です。オールカラー・101ページ

国家試験形式(表が問題、裏が回答)の珍しい形式で書かれています。ただし、回答がすべて○とかすべて×等の答え(笑)があり本当の国家試験問題とは少し違う感じです。あくまでも雰囲気です。

所々にポイントやコラムなどがあり勉強になります。総義歯より局部床義歯部分が多く書かれています。項目も診察・印象・バイト等に分かれていますので整理が付きやすいかと思います。

特に、我々の診療はすべての義歯が自分で作ったものではなく他院からきたものや破折などの壊れた場合、長期に使用して劣化したものなど様々です。すべてが新製できる訳ではなく調整や修理をすることも日々の診療では多いものです。

そんな、調整・修理のポイントが中心に書かれていますのですぐに診療に生かせる内容かと思います。著者がかなり診療でいろいろな場面で出くわしていることがわかり、それに奮闘したのが感じられます。私も同じ経験をしたことがあり、納得です!パテの使用方法などためになります。

一般臨床寄りの読みやすい専門書かと思います。

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「スーパーベーシック ペリオドントロジー」

「スーパーベーシック ペリオドントロジー」 木村英隆 著 クインテッセンス出版

歯周病の専門書です。

歯周外科を中心に初心者向けにわかりやすくオールカラー書いてあります。

私も歯周外科を勉強したいために購入しました。

模式図と症例写真で色々と説明してありますのでイメージしやすいと思います。歯周外科も色々とありますがスタンダードな処置について解説してあり、所々にワンポイントコーナーもあり読みやすいです。

マイナスポイントとして症例数が少ないのと、縫合方法に付いての記載があまりないこと、インプラント歯周病の記載がない、などがあげられます。

購入してから数回読み直す機会も多く、なにかと参考になる参考書です。おすすめです!

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「根管洗浄」

「根管洗浄~よりよい治癒を目指して~」 小林千尋 著 医歯薬出版

ずばり、歯内療法における根管洗浄のみを取り上げた専門書です。

根管洗浄のみの専門書はきわめて珍しいのではないでしょうか?!

この専門書の購入者はかなりマニアックだと思いますよ(私もその一人ですが)

小林先生の前書の「新 楽しくわかるクリニカルエンドドントロジー」(購入済み)と内容はほぼかぶっていますのでお持ちの方は必要ないかも?

「いろいろな洗浄機器があるが、それぞれに問題点があり、完璧ではない。しかし、根管洗浄(特に根尖部)が治癒の大きな要因になっている」と本書に書いてありますが、先生の開発した超音波吸引洗浄法がもっとも優れているようですが、商品化されていません(私は発売記念の専門書と勘違いしていました(涙))

なので、私の根管洗浄法はいままで通り、ヒポクロリットとEDTEによるスタンダード洗浄になります。最終ファイルで根尖付近(作業長)まで洗浄をすることを心がけています。

少し期待はずれの内容でしたが、歯内療法の行程の一つを確認するためには良いのではないでしょうか!

《NiTiロータリーファイルを効果的に使う実践歯内療法》

Evidence & Technique~NiTiロータリーファイルを効果的に使う実践歯内療法~
阿部修 著 医歯薬出版
 阿部先生の著書は2005年の出版された《エンジンファイルON》デンタルダイヤモンド社に続き第2弾になります。この専門書は歯科展望で長期連載された内容をまとめたものです。
阿部先生はパイロットの経験もあり経歴に特徴のある先生です。
 この専門書では特に根管洗浄・ニッケルチタンファイルについての根管形成を中心に書かれています。ただし、私としては根管充填については記載が少なくのでこの点はマイナス部分です。
 しかし、根管洗浄はきちんと根尖まで届いているのか?その方法は?ニッケルチタンファイルの破折を防ぐ方法・効果的な根管拡大方法などが詳しく書かれており勉強になります。
 また、ニッケルチタンファイルは通常1回使い捨てに海外では推奨されていることが多いようですが日本保険診療ではそうはいきません!そこで、この専門書では効果的なファイル洗浄・滅菌方法の記載があります。ほかに歯の感染歯質の確実な除去が治療後の疼痛削減になることについても勉強になります。
 あくまでもこの専門書は、歯内療法専門医ではなく一般臨床医(保険診療医)の目線で書かれており(顕微鏡は使用していますが・・・)、エビデンスを踏まえてその内容を実現するためのポイントのたくさん書かれています。 歯内療法好きの先生にはお勧めです。