岩見沢市フッ素物洗口事業 説明会

今日は診療を早めに終わりに、栗沢小学校の校医として栗沢小学校で行われた「岩見沢市フッ素物洗口事業 教職員説明会」に参加してきました。

岩見沢では来年1月以降実施を予定しています。(けして強制ではありません!)

岩見沢市は12歳児の永久歯の平均虫歯数が1.77本(全国:1.20本  北海道:2.05本)全国平均と比較すると0.57本多い現状があります。

フッ素効果は現在、世界的に見ても、安全性や効果についてはエビデンスが出来ています。一部、都市伝説的に有毒説や業界陰謀説など色々とありますがどれも説得力がありません。

しかし、フッ素も薬剤ですので、適切な濃度や摂取量をきちんと管理しなければなりません。

学校での洗口は、学校の先生・子供のご両親・国や市や歯科医師会・地域等の様々な協力が必ず必要となります。私は、個人的に未熟な永久歯時のフッ素洗口は効果的であると考えていますので今回の洗口には賛成ですが、皆様にきちんとした説明の義務が必要と思いました。

健康についての後悔 トップは?!

今月号のプレジデントに面白い内容が掲載されました。

 

55歳~74歳の1000人アンケート「今、何に後悔していますか?」という質問に、健康の部門で「歯の定期検診を受ければよかった!」がナンバー1になりました。

「歯の治療は、痛くなければ行かない」、「1本ぐらい無くなっても大丈夫!」「歯の治療は怖いから嫌だ!」「定期検診は歯科医院が儲けようとしているだけ!」「私はきちんと磨いているから大丈夫!」「少しぐらい歯茎が腫れたって時間と共に治るから放っておいた!」・・・・

以上の様な理由から定期検診を受けていないのではないでしょうか?日本人は約20%以下しか定期検診をしている方はいないと言われています。

アンケートで分かるように皆さん、歯のことで皆さん後悔しているのです。

みしま歯科医院には毎月いらっしゃる患者さんもいます。お口の中がみるみる清潔に綺麗になることが私が診ても思います。

お口のケアを自分一人で行う時代は終わりました!患者さん+歯科医師+歯科衛生士の3人4脚で綺麗なお口にしてみませんか?ホームページの「定期メンテナンスのオススメ」ページもご覧下さい。

「このくらい歯は、放っておいても大丈夫!」が歯の崩壊の始まりです。

最低6カ月に1度は歯の定期検診へ受診してください。そのことが、最も手軽で医療費を抑えた方法であり、美味しく食べ続ける事が出来る唯一の秘訣です!

歯科医院の受診に手遅れはありません。思い立ったらお近くの歯科医院へ

 

歯、歯周病予防の一助、新種の菌発見 !

北海道医療大の大学院歯学研究科博士課程2年の真島いづみさんが、口の中にいる新種の菌を発見した。虫歯菌の繁殖や歯周病をもたらす歯垢を形成する働きを持つとみられる。学名を「ベイロネラ トウベツ エンシス」と名付け、年内に正式に認定される見通しだ。真島さんは「虫歯や歯周病の予防に役立てたい」と今後の研究に意欲を燃やしている。

口腔生物学系微生物学が専門の真島さんが、発見の手がかりをつかんだのは歯学部5年の時。学生30人の口の中から採った菌約500種類を分類した際、遺伝子配列から歯垢を形成する菌に属すると分かったものの中で、既存の枠に当てはまらない菌を見つけた。約2年間かけて電子顕微鏡で形状を詳細に調べ、遺伝子解析なども進めた結果、新種の菌と確信を深めた。

新種と認められるには国内外2カ所の検査機関に菌を送り、確認を受ける必要がある。このため実験で得た情報とともに菌を日米各1カ所の機関に送り、7月、新種と認めるとの結果が届いた。

正式には細菌分類学で最も権威ある英国の雑誌「IJSM(International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology)」に掲載される必要があり、年内にも載る見通しだという。学名は、研究を指導した歯学部の中沢太教授から「大学所在地にちなんでは」と薦められて決めた。

国際的な新規微生物種の検査機関で、真島さんが見つけた菌も調べた独立行政法人理化学研究所(埼玉県和光市)バイオリソースセンター微生物材料開発室の坂本光央研究員は「虫歯の原因がどういう仕組みか、解明する一助になる」と発見の意義を強調する。

真島さんは発見した菌が具体的にどのような働きをするのか研究中で、「虫歯や歯周病の予防について研究を深めたい」と話す。

北海道の大地で新種に虫歯菌が見つかりました!すばらしい~

歴史・迷宮解:歯から探る昔の健康  縄文、虫歯の陰に歯周病

甘いお菓子を食べる現代人に特有と思われがちな虫歯だが、自然とともに生きた縄文時代人も悩まされていた。藤田尚・新潟県立看護大准教授が遺跡から出土した古人骨を調べ、昔と今の虫歯のでき方を比較した。虫歯を予防するためには、単にヘルシーな自然食にすればいいというわけではなさそうだ。

縄文時代の早期から晩期までの13遺跡から出土した195体の歯3295本を藤田さんが調べたところ、虫歯が占める割合は8,2%だった。40%を超える現代人よりははるかに低いが、3%に満たない先史時代のアメリカ先住民や近現代のイヌイットに比べると、狩猟採集民としては突出して高い。

その原因として考えられるのが、植物食への依存だ。農耕社会では虫歯が激増することが世界的に知られている。日本列島の古人骨では、稲作農耕が始まった弥生時代の山口県・土井ケ浜遺跡で19,7%、佐賀県・三津遺跡で16,2%、古墳時代8,3%、室町時代14,6%、江戸時代12,1%と報告されている。

炭水化物を多く含む食物は虫歯の原因となりやすい。虫歯の病原菌が出す酵素によって、ショ糖から不溶性グルカン(バイオフィルム)というねばねばした物質が作られる。そこに他の細菌が付着して増殖し、歯垢(プラーク)となる。ここで作られた酸が歯のカルシウム分を溶かす。

縄文人が食べかすを捨てた貝塚の考古学調査によって、縄文人はカロリー摂取を炭水化物に富んだ植物食に頼っていたとされている。クリなど木の実のでんぷんを主成分とする「縄文クッキー」は歯に引っ付きやすい。縄文人は炭水化物を虫歯になりやすい調理方法で食べていたようだ。

藤田さんは虫歯の場所にも注目した。現代人の虫歯は、食物の残りかすがたまりやすい隣接面(歯と歯の間)と咬合面(上下の歯がかみ合う面)に多いが、縄文人には咬合面の虫歯がめったにみられない。

植物食の繊維に富んだ葉や茎、根などは、歯を清掃する役割を果たしていたと考えられる。硬いものを食べていた縄文人の歯は現代人とは比べものにならないほど早くすり減った。年をとって咬合面の小さな溝がなくなってからは虫歯ができにくく、もし若いころにできたとしても、すり減って消えてしまったと考えられる。

藤田さんの調査では、歯のすり減り方は、時代が下るにつれて小さくなった。江戸時代になって初めて、歯冠の咬合面にぽこっと穴があく現代型の虫歯がみられるようになる。

虫歯が歯冠に多いのは現代人だけで、江戸時代までは歯根や歯頸部(歯冠と歯根の境目)に多い。縄文人の虫歯は、隣接面や頬側(臼歯の外側)の歯根や歯頸部によくできた。

これは現代の高齢者と同じで、歯周病によると考えられる。歯と歯肉(歯茎)の間に歯垢がたまり、細菌が繁殖して、毒素によって歯肉や歯槽骨がやせる。そのために歯根や歯頸部がむき出しになる。歯根や歯頸部の表面は軟らかいセメント質なので、硬いエナメル質で覆われた歯冠よりも虫歯になりやすい。

藤田さんが縄文人の上の歯と下の歯を比較したところ、上の歯の方が多く抜けていた。下あごの骨は緻密質が多いのに対して上あごの骨は海綿質が多く、歯を支える力が弱い。虫歯は下の歯に多かったので、縄文人の歯が抜けた原因は虫歯ではなく歯周病だったと考えられる。

縄文人は、歯垢を取り除く歯磨きの仕方や、歯科治療を知らなかった。若くして歯周病が進行し、それとともに現代の高齢者にみられる歯根や歯頸部の虫歯に侵されたのだろうと、藤田さんはみている。