一般的な虫歯の治療法と言えば、「虫歯を削って詰め物をする」というものですが、最新の研究で「虫歯を削る必要なし」「詰め物も不要」という実験結果が現れて、虫歯治療が根本的に変わる可能性が指摘されています。
シドニー大学のウェンデル・エバンス准教授らの研究チームは、22の歯科医療機関と連携してのべ1000人の患者を調査する7年間にもわたる実験の結果から、「ほとんどの虫歯治療にはドリルで削ったり、詰め物したりする必要はない」との結論を出しました。
実験では、虫歯患者を従来通りのドリルで削って詰め物をするグループと、ドリルで削らずに高濃度のフッ素塗布をした上で、砂糖の入ったお菓子や飲み物の間食を制限する「オーラルケア」と呼ばれる治療法を採るグループとに分けて、虫歯の経過を観察しました。
その結果、ドリルで削らなかったオーラルケア・グループの虫歯は30%から50%が減少し、中でも1年間に2本の虫歯治療が必要とされる虫歯リスクの高い層に限って言えば、虫歯の減少率は80%も高かったことが分かりました。この結果を受けて、エバンス准教授は、「ほとんどの虫歯のケースでドリルで削って詰め物をする必要はない」と述べています。



