広島大学は口腔から感染した歯周病菌が肝臓に到達し、非アルコール性脂肪性肝炎 (non-alcoholic steatohepatitis、NASH)の病態を進行させることを明らかにしたと発表した。
この研究は、同大学大学院医系科学研究科口腔顎顔面病理病態学研究室の宮内睦美教授と高田隆名誉教授らの研究グループによるもの。
肥満に伴う肝臓の病気の1つである非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、その10〜20%が肝硬変や肝癌に移行するため、病態の解明が重要視されている。
近年、歯周炎がNASHの病態進行の危険因子であると報告され注目されていたものの、そのメカニズムについてはよく分かっていなかった。
近年、NASHの病態進行、特に線維化の進行機序として、TGF-β1や Galectin-3を介した肝星細胞の活性化が注目されていた。
研究チームは、歯性感染により肝臓に到達したPg菌が、TGF-β1 や Galectin-3 の産生を誘導することにより線維化を亢進するのではないかと考えた。
そこで、Pg菌が産生する病原因子である Gingipainや構成成分のリポプロテイン 、リポポリサッカライド に着目し、高脂肪食誘導脂肪肝マウスモデルや肝星細胞、肝細胞を用いて研究を行ったところ、NASHの病態を増悪するメカニズムが明らかになったという。 続きを読む →