難症例時代に求められる総義歯の印象と咬合

9日札幌で行われた「難症例時代に求められる総義歯の印象と咬合」と題したセミナーを受講してきました。講師は東京医科歯科大学 教授 古屋純一先生です。東京医科歯科大学の鈴木哲也先生とともに総義歯を研究・臨床を行っている先生です。

今回、総義歯の外形についてと咬合についてのセミナーでした。古屋先生はフルバランス様リンガライズトオクルージョンを推奨していました。

先生もお話されていましたが義歯の成功の鍵は咬合あり、印象2割 咬合8割的なことですが、私も同意です。義歯吸着があっても咬合のズレが致命傷になることが多くあります。その咬合を適切にするのが咬合調整やリマウント法になると思います。私の感覚では口腔内調整法には限界があるような感じもします。口腔内だと適切な咬合の合否が判定しにくいことがあります。確かに、口腔内の方が手軽であると思いますが・・・。どうなんでしょうね?!

日本口腔インプラント学会認定講習会7月コース

8日9日と札幌で北日本口腔インプラント研究会主催 日本口腔インプラント学会認定講習会 7月コースが開催されました。

8日は日本歯科大学教授 中原 貴教授・バイオインテグレーション学会理事長 青木 秀希先生、9日は東北大学教授 高橋 哲教授・北海道医療大学教授 坂倉康則教授 でした。

歯周病によるアルツハイマー病悪化メカニズムの解明に期待!

九州大学大学院歯学研究院の武 洲准教授と中西 博教授らの研究グループは、リソソーム酵素カテプシンBが歯周病原因菌であるジンジバリス菌(Pg菌)の菌体成分リポ多糖(LPS)を全身に慢性投与することにより誘発されるアルツハイマー様病態の原因酵素であることを初めて明らかにしました。

近年、重度歯周病の罹患と認知機能低下との相関性が報告され、Pg菌LPSがアルツハイマー病患者の脳内に検出されました。このためPg菌が脳炎症を引き起こし認知症の悪化を招くと考えられますが、詳細なメカニズムは不明です。研究グループは、Pg菌LPSを全身に慢性投与した中年マウスではミクログリア活性化による脳炎症、アミロイドβ(Aβ)のニューロンにおける産生・蓄積ならびに学習・記憶能力低下などアルツハイマー様病態を発症することを明らかにしました。驚いたことに、若齢マウスはこのようなアルツハイマー様病態を示しませんでした。さらに遺伝子欠損マウスを用い、カテプシンBがPg菌LPSの全身への慢性投与により誘発されるアルツハイマー様病態に関与する原因酵素であることを突止めました。

今回の研究により、カテプシンBは歯周病によるアルツハイマー病の誘発と症状悪化に関与する原因酵素となることが示唆されました。このことから、カテプシンB特異的阻害剤は歯周病によるアルツハイマー病の発症と症状悪化を阻む可能性があると考えられます。

リソソーム酵素カテプシンBが歯周病から脳への炎症シグナル伝達に関与することを明らかにしました。また、中高年者では特に歯周病がアルツハイマー病の悪化因子となることが示されました。カテプシンB阻害剤を期待するより、まずは口腔ケアが重要です。(インターネットより)

*お口の健康が認知症を予防できる可能性をしめすエビデンスが出てきました!

咀嚼刺激の低下が記憶・学習機能を障害するメカニズム解明?!

東京医科歯科大学は、成長期における咀嚼刺激の低下が記憶を司る海馬の神経細胞に変化をもたらし、記憶・学習機能障害を引き起こすことを突き止めたと発表した。

 

同研究は、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の中島友紀教授、小野卓史教授、福島由香乃研究員らの研究グループと、神戸大学医学研究科の和氣弘明教授との共同研究によるもので、同研究成果は、国際科学誌「Journal of Dental Research」に発表された。

加工食品などの柔らかく栄養価の高い食品が普及することによって、現代人の咀嚼回数は劇的に減少しているという。成長期に咀嚼回数が低下すると、顎の骨や噛むための筋肉(咀嚼筋)だけでなく脳の発達にも悪影響を及ぼすことが知られており、また、加齢に伴い歯を失うことによって咀嚼機能が低下すると、認知症のリスクが高まることも分かってきた。しかし、咀嚼機能と高次脳機能の関係には不明な点が多く残されており、記憶・学習機能をはじめとした脳機能の障害を予防するために、咀嚼機能と脳機能がどのように関係しているか、それらの分子メカニズムを解明することが重要な課題となっている。

行動実験(受動回避試験)。固形食を食べている正常のマウスを明箱に入れると、不安を感じるため即座に暗箱に入る。暗箱に入った際に電気ショックを与え恐怖を学習させると、それ以降マウスは暗箱に入るのを躊躇する。しかし、粉末食を食べて咀嚼刺激を低下させたマウスは、記憶力が低下して電気ショックの恐怖を忘れてしまい、通常より早く暗箱に入ってしまう。

同研究グループは、マウスに離乳期から成長期にかけて粉末飼料を与えることより、咀嚼刺激を低下させるモデルの解析を行った。その結果、粉末飼料を与えたマウスでは、通常の固形飼料を与えたマウス(対照群)と比べ、顎顔面の骨や噛むための筋肉の成長が抑制され、記憶・学習機能も顕著に障害されることが見いだされた。そこで、記憶・学習を司る脳領域である海馬を解析したところ、それらのマウスでは神経活動やシナプス形成、脳由来神経栄養因子(Brain derived neurotrophic factor: BDNF)の発現が低下し、神経細胞が減少していることが明らかとなった。

以上のことから、同研究では、成長期に咀嚼刺激が低下すると、顎骨や咀嚼筋の成長と記憶・学習機能が障害される可能性が見いだされた。同研究の成果は、記憶・学習機能障害や認知症の予防において咀嚼機能の維持または強化が有効であることを示唆している。将来、ヒトを対象とした研究を含め咀嚼機能と脳機能を結びつける分子メカニズムがさらに詳細に解明されることによって、認知症や記憶・学習機能障害の新たな治療法や予防法の確立につながることが期待されるということだ。(インターネットより)

*噛むことの重要性が科学的に証明されつつありますね!三嶋直之