《ゼロから見直す根尖病変》

ゼロから見直す根尖病変 診断・治療コンセプト編・基本手技・難症例へのアプローチ編  倉富覚、 著 (医歯薬出版)

専門書レビューです。2冊出ていますので合わせて上下巻って感じです。近年の歯内療法専門書では一般開業医にとって大変勉強になる内容盛りだくさんのオススメの専門書となります。近年のたくさん出ている歯内療法専門医による著書は、エビデンスにもとに最新情報を網羅していますが、一般開業医にとって診療時間・診療コストをすべてを導入することは難しく感じることもあります。

今回、倉富覚先生は一般開業医とし下川公一先生のお弟子さんで、下川エンドのコンセプトを継承した診療をしています。(前にレビューした《「下川エンド」20年の臨床》を書かれた木村英生先生も同様です)。この専門書の所々に下川先生との交流が書かれておりその関係がわかります。

症例写真や模式図を多く・大きく使用し視覚的に頭に入りやすく読みやすい書になっており、各章の最後にその章のポイントもまとめられており確認しやすいです。また、先生の趣味かもしれませんがドラマのセリフのパロディや正義の味方(免疫担当細胞)を仮面ライダーで表現したりと楽しく読み進めることができます。中には何のパロディなのか分からないものもありましたが・・・(笑)

根管治療の成功には一つずつのステップは省くことなく確実に行っていくことが必要と感じています。その中には診査・診断、解剖、インスツルメントの使用方法等も含まれます。その重要さを教えてもらえます。最後には外科や再植、経過観察のことまで書かれており、歯内療法のほぼすべてが網羅されています。(今回の本の2冊は題名にあるように根尖病巣を伴う歯内療法をターゲットにしていますので覆罩等の歯髄保存治療や抜髄については書かれておりません。)

1度の読解では理解できないこともあるかもしれませんが私たちは歯科医師は学生ではありませんのでいつでもカンニング(確認)が診療中も可能です。診療中 頭のなかに?が出た時は一度 解剖の章やアクセスキャビティの部分を確認すると答えが出ることもあるとと思います。私もカンニングしまくりです(笑)

歯内療法初心者の先生や苦手な先生は是非読んでみてください。診断・治療コンセプト編だけでも読んでいただけると自分の手技をパワーアップできると思います。

 

最強LEDライト?!《High Beam Loupe Light》

普段、診療では100%拡大鏡を使用して診療をしています。(現在、10倍ルーペ サージテル社を使用。*現在10倍以上のルーペを見つけたので注文中!(笑))

拡大鏡診療をしていると明るいライトは絶対必要となります。特に強拡大ルーペを使用すると時はユニットのヘッドライトでは明るさと位置が合わせるのが難しくルーペの直線状にライトが当たらないと影になり見づらくなります。そこでルーペに直接つけれるLEDライトが必要となります。今まで、BSAサクライのポラリスライト(8万ルクス)を使用していましたが、価格が比較的良心的でルーペとの接続が各社のルーペに対応しており導入しやすいかと思います。しかし、長期に使用しているとコードの断線が多く接続不良がありました。コードのみ別売りをしているのですがそれでの接続不良は嫌なものです。それに交換の頻度も増してきました。もしかしたらバッテリーケースに問題があったのかもしれませんが・・・。そこで新しいライトを探していました。しかし、日本には更に明るいライトは見当たらず、海外サイトで検索。そこで見つけました!《High Beam Loupe Light》!!!

早速、高校生レベルの英語力の私がメーカーに問い合わせをして購入してみました。約2~3週間後に日本に無事到着。

今回は驚愕の100000ルクス!!!(Output Light Color: 6000K (Truly White Light)))

バッテリーも2個付きでコードの断線しないように工夫がされてるようです。(原文:The Snap On Loupe Light power cord has a fully synthetic polymers jacket with pure copper conductors inside.)

コンポジットレジンの硬化予防のオレンジフィルターもついていますし、各社ルーペに対応しています。アフターサービスを整っているようです。(バッテリーのみの別売や交換サービス)

確かに明るく使用心地はベストです。そこまで明るいライトは必要ない方・軽量を望む方はコードレスタイプも販売しています(私にとっては明るさが足りませんが・・・)(*なお、個人輸入になりますのでそのへんは十分気をつけてください。)

*マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)があればルーペの問題はすべて解決すると思いますがルーペの良いところもあると思います。

「かみつきがいい」入れ歯

《「かみつきがいい」入れ歯 かめない義歯のイニシャルプレパレーション》 河原英雄 著 生活の医療社

久しぶりの専門書レビューになります。先日、福岡にてセミナーを受講してきた河原先生の専門書です。

旧義歯をリマウントし咬合調整する方法がきめ細かく書かれています。前書の『保険総義歯のススメ』は新義歯制作を中心に書かれていますが、今回は旧義歯治療を中心になります。まさに私にとって待望の専門書となります。(発売日に購入してしまいました)特に往診診療では治療期間をよりクイックにする必要が多く、新義歯作成では時間がかかることが多いと思います。この河原先生が提唱する方法では最低数時間で義歯治療が終了する可能性もあります。

専門書に中には、バランスドオクルージョンについて、口腔外のみ義歯の咬合調整が不可能の理由、総義歯・部分床義歯でのリマウント及び咬合調整、フードテストについて、先生の門下生の症例(ムービー付き)が書かれています。

特に高額な道具を必要としなく、唯一専用の咬合器が必要となりますがそれほど高額ではありません。今後低価格の咬合器も発売予定のようです。

難しいことを考えず、自己流に脚色しないで素直に取り込むことが成功に近道です。

往診・長期通院不可の方にはリマウント法が的確な義歯治療が可能かと思います。試みたい方はまずはこの専門書を熟読し、セミナーに参加ください。勉強になります。

 

『河原英雄先生セミナー』

4月22日23日と福岡で行われた『河原英雄先生セミナー』を受講してきました。総義歯の勉強です。河原先生は現在76歳ですが現役バリバリの歯科医師で現在も九州で診療に当たられています。今回は1月の新宿で河原先生セミナーに続き受講してきました。今回のセミナーを探すのに大変でしたがご協力していただいた先生方のお陰で無事に受講出来ました。

先生の技法は、旧義歯・新義歯に関係なく短時間で義歯を調整し、前歯で食べれる義歯すなわち日本人にあった箸文化の食事が不自由なく食事が出来ようにすることです。義歯をリマウントし口腔外で適切な咬合調整をすることで食べれるようになります。多数の受講生も同じ技法で治療し成果を多数あげています。前歯で咬むことは脳に対し刺激が伝わり患者さんの健康状態が著しく向上することも解ってきています。

私も義歯好きですので色々と診療してきました。この数年は印象より咬合の重要性に気づき、特に水平的な顎位のエラーは成否に直結します。しかし。咬合が重要と知りながら対応出来ていないことも多くあります。口腔内では義歯の咬合の適否を判断することは難しく誤診につながりやすいと考えます。そこでリマウント方になりますがリマウント後の咬合調整について書かれている教科書は少なく、新義歯ならともかく旧義歯での咬合調整については数冊しかありません。義歯の教科書は印象中心の内容が多い傾向があります。

今回の治療法は。歯科医師なら誰でも取り入れやすい方法で結果も良好です。私もまだまだ初心者ですがこれが義歯治療の一つの答えのような気がします。すべての患者さんに100点義歯治療は難しいかもしれませんが努力を重ね80点以上の義歯を提供出来る歯科医師になりたいと思います。