実は歯と歯の間をキレイにする「デンタルフロス」の効果には医学的な裏付けがなかったことが判明?!

普段のブラッシング(歯ミガキ)に加え、細い糸状の「デンタルフロス」を使って、歯の表面に残ったプラークや歯と歯の間に残った食べかすを除去することが推奨されています。これはアメリカでも同様で、政府機関からも推奨されているのですが、実はその効果には医学的な裏付けがないままだったことが明らかになりました。

s-フロス2(110802044)
デンタルフロスや歯間ブラシを使ったことがある人ならば、きっとその効果は実感できていると思われるのですが、これを裏付ける根拠が存在していないというところは意外といえます。このことが発覚したのは、AP通信がフロスの使用(フロッシング)を推奨している政府機関にその根拠を確認したことがきっかけでした。

アメリカでは、1979年に公衆衛生局長官の報告書で初めてフロッシングが推奨されるようになり、その後は5年ごとに改訂される「Dietary Guidelines for Americans(米国人のための食生活指針)」でも毎回使用が推奨されています。この指針に記載されるためには、その内容が科学的根拠に基づいていることが法律で定められているのですが、AP通信が2015年にFOIA(Freedom of Information Act:情報公開法)に基づいてその根拠を請求したところ、フロッシングの推奨には学術的な根拠が存在していないことを政府が認めるという事態に至ったとのこと。その後、アメリカ合衆国保健福祉省とアメリカ合衆国農務省は、2016年に改定された指針からフロッシングの項目を告知なしに削除しています。

とはいえ、過去にはフロッシングを含む歯ミガキの効果を調査した研究結果も公表されています。それらの内容をまとめて評価したレポートが2011年に発表されているのですが、そこでもフロッシングで期待できる効果の裏付けは「全体として弱く、フロッシングとブラッシングが『1か月や3か月という短期間でプラークがわずかに除去されるという事実』に関係することを示すエビデンスは非常に信頼が難しい」とする結論が出されており、やはりここでも裏付けとする材料に乏しいという実情が明らかになっています。

s-フロス5(110802047)
そんなフロッシングですが、その歴史は19世紀後半にまでさかのぼることができます。歯科医のLevi Spear Parmly氏が1874年に最初の特許を取得して以来、フロッシングは虫歯を予防してオーラルヘルスを保つために有効な手段として広く使われるようになりました。その後、1908年からはADA (American Dental Association:アメリカ歯科医師会)もフロッシングを広く推奨するようになっています。

意外にも効果の裏付けが乏しいことが判明してしまったフロッシングですが、必ずしもこのことが「フロッシングには意味がない」という結論を示すわけではないというのも、一方では事実です。実際にフロッシングを行っている人であれば、歯間の汚れがきれいに落ちることを経験していると思われるほか、実際の歯科医師も歯ブラシとの併用を薦める人がほとんどです。アメリカ国立衛生研究所のTim Iafolla歯科医師はCNBCのインタビューに対し、「フロッシングはリスクが低く、コストも少なくてすみます。我々はフロッシングには効果があることを知っているので、人々にもフロッシングを気兼ねなしに勧めることができます」と語っています。(インターネットニュースより)

*私も患者さんには歯ブラシとデンタルフロスもしくは歯間ブラシを必ずオススメします。論文的には効果が認められないようですが、長年臨床を行っていますと、明らかに歯ブラシのみの方とフロスを併用している方のお口の健康状態は変化があると感じています。もちろん、私も毎回使用しています。特に乳歯期の奥歯の歯の間は特に虫歯になりやすいところです。この部分にもフロスは必要と思います。歯ブラシとフロス(歯間ブラシ)の両方を使用する口腔ケアが適切と考えています。