研究グループがエナメル質の作成に成功!

九州大学大学院でロ腔病理学を専攻する坂井英隆教授の研究グループが、人の皮膚細胞を培養し、歯の生成に欠かせないエナメル質を作り出すことに成功した

歯は象牙質とセメント質をエナメル質が覆う構造になっている。象牙質とセメント質は体内でいつでも生成されるが、エナメル質は体内で作り出されることはない。永久歯が形成される際に、エナメル質を作り出すエナメル芽細胞が消失するためだ。そのため、永久歯は一度しか生えてこない。

坂井教授らは、マウスの胎仔に歯が形成される際、細胞の骨格に関わるサイモシンβ4という遺伝子が多く出現していることに着目。人の背中の皮膚から作られた研究用細胞にサイモシンβ4を注入して3週間培養したところ、エナメル芽細胞と同じ性質の細胞に変わり、タンパク質やリン酸カルシウムを含むエナメル質が作り出された。今後は、患者が抜いた親知らずなどの歯に付着した歯肉の粘膜細胞をロ腔内に近い環境の下で培養し、象牙質やセメント質も含めた歯の形成を目指す。形成された小さな歯を患者の顎の骨に埋め込めば、やがて歯肉に定着して新しい歯ができる見通しだ。

坂井教授日く、「実用化するには10年以上の年月が必要」とのこと。これまでは、一度なくなってしまった永久歯は義歯やインプラントで補うことしかできなかったが、再生医療が実現すれば、自分の歯を取り戻すことが可能になる。

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再生医療は、日進月歩の分野です。歯の再生も夢の内容ではないのかもしれません!更なる研究結果に期待大です。

歯磨きは食後30分以内か?以降か?

近年「食後30分以内に歯磨きをすると歯を傷つけてしまう」という報道がメディアを賑わしています。

これは、食事によって糖分や炭酸を摂取した後は、特に口内が酸性に傾き、その状態で歯磨きをすると、歯のエナメル質が溶けやすくなってしまうというもの。歯の腐食を防ぐには、酸にさらされたエナメル質が唾液によって再び硬さを取り戻すまで、少なくとも食後30分経ってから歯磨きをするのが望ましいとのこと。

 日本小児歯科学会が見解を発表しています。「人のロの中では、食べた後に口の中が酸性になったとしても、唾液には酸を中和する働きがあり、酸性飲料の頻繁な摂取がない限りすぐには歯が溶けないように防御機能が働いている。つまり、日本の一般的な食事では食後すぐの歯磨きにより歯が溶けることはありえない。反対に食後に歯磨きをしないままでいると、すぐに歯垢中の細菌によって糖分が分解され、産生された酸に

よって歯が溶けはじめる。」とんこと、結果として、食後は早めに歯磨きをして、歯垢とその中の細菌を取り除くことが重要だということです。

 日本歯科保存学会も、「これまで通り食後の早い時間での歯磨きを続けてもらいたい」と発表していましたが、「酸性の強い飲料などを摂取した場合には、酸蝕に留意した歯磨きを推奨する」と改めています。

 要するに、むし歯予防には食後すぐ、酸蝕症の予防のためには、食後30分経ってからの歯磨きが良いということだと思います。酸の強い飲料といえば、炭酸飲料はもちろん、スポーツ飲料、食酢ドリンクなど色々ありますので注意が必要です。

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現在、食後の歯磨き開始時間に関しての弊害は少なく、その事よりも1日3回しっかりと歯ブラシと糸ようじ(デンタルフロス)や歯間ブラシ等を併用しながら、プラークコントロールすることが必要と思います。

痛みを伴わない虫歯の根管治療法が開発される!?

虫歯の治療は大人になってもできれば避けたいものですが、虫歯が歯の根や神経まで進行してしまった場合、強い痛みを伴う「根管治療」が必要となります。そんな中、インド・ニューデリーの「All India Institute of Medical Sciences(AIIMS)」の歯科医であるNaseem Shah氏とAjay Logani氏が、従来の根管治療よりも安価で痛みのない虫歯の治療法を開発しました。
AIIMSの教授たちによって開発された痛みのない根管治療法は「SealBio」と呼ばれており、患者自身の幹細胞を利用する技術で、米国特許商標庁に特許取得を申請中、オーストラリアではすでに特許を取得しています。
根管治療を行うには、厳しい練習や歯科的スキル・歯科医との臨床経験・根管を詰めるセメントに関する技術や知識など、さまざまな要素が求められますが、この技術が実用化されれば従来の根管治療を行う必要がなくなるとのこと。根管治療とは違う治療法であるSealBioでは、根管に患者自身の幹細胞を詰めることで組織障壁となって虫歯になった患部の再生を可能にします。
虫歯に侵された根管を幹細胞で満たすことで、数週間から数カ月かけて組織を徐々に修復。AIIMSの歯科医によると、SealBioの技術は従来の治療法で利用する設備を必要としないため、患者に痛みを感じさせないだけでなく、治療にかかるコストや時間も削減できるとのことです。
Shah氏はすでに複数の患者に対して臨床実験を成功させており、Kusuma生物学スクールの教授Seyed Hasnain氏は「この再生技術は、根管治療だけでなく歯科学全体の臨床的状況に影響を及ぼすかもしれない革新的な技術です」と話しています。

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この治療方法が確実な効果があるようでしたら、一般的に難しいとされる根の治療に対する新しいアプローチとして期待します。実用化には、まだまだ問題があると思いますが・・・。三嶋直之

《だめな義歯から、よい義歯へ》

昨日16日、北海道大学で北海道大学歯学部同窓会特別講演《だめな義歯、よい義歯》と題した講習会を受講してきました。

講師は東京医科歯科大学教授 鈴木哲也先生です。

鈴木先生の講演は数回受講していますが、復習の意味も含めて受講してきました。鈴木先生は前日からの本州の大雪のため(北海道人にとっては普通の雪ですが・・・)、飛行機が欠航なり、新幹線等を乗り継いで前日の夜中に着いたそうです。

講演は午前中が義歯の形について、午後は咬合を中心に、咬合採得や症例を教えていただきました。いつもの鈴木先生の調子でズバズバと的確な講演でした。後半のフラビーガム症例やオーラルジスキネジアの症例は私ならお手上げかなと思われる症例も適切に治療することにより食事を出来るところまで治療されているのはさすがと思います。

私も義歯が上手になるように頑張らなければ・・・!s-P1010081s-P1010087s-P1010092