《口内細菌「バイオフィルム」 肺炎など重い病気の原因にも!》

複数の細菌が固まり、ぬるぬるとした状態になった「バイオフィルム」。口の中のバイオフィルムは、虫歯や歯周病だけでなく、肺炎など重い全身の病気の原因になることもある。

◆菌の集合体
東京歯科大の奥田克爾名誉教授によると、バイオフィルムであるデンタルプラークは複数の細菌の集合体だ。バイオフィルムは、細菌が周囲にねばねばした物体を作って個体がくっつき合い、集団になったもの。実はバイオフィルムは身近な存在だ。「台所やお風呂場の掃除をさぼると出てくる、ぬるぬるしたものも細菌の固まり、バイオフィルムです」
注目されているのが、口の中のバイオフィルムだ。人の口の中には500種類を超える細菌がいるという。奥田名誉教授は「口の中の細菌は、唾液成分や歯と歯茎の隙間からにじみ出る成分を栄養源にして繁殖する」と指摘する。バイオフィルムは、ねばねばした膜で包まれているため、抗菌剤や免疫機能が効きづらいという特徴がある。
口の中のバイオフィルムには、虫歯の原因となるミュータンス菌や、歯周病の原因となる細菌も集団で潜んでいる。その中で、全身疾患に関わりがあるとして注目されているのが歯周病原細菌だ。
歯周病は主に歯周病原細菌によって起こる。歯の周りのバイオフィルムが、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)を作る。炎症を起こして歯茎が赤く腫れるほか、出血が見られることもある。進行すると歯周ポケットが深くなっていき、歯を支えている組織に炎症が及ぶ。すると、口臭が発生し、歯を支える骨が溶けて歯がぐらつき、かめない状態になる。

◆高齢者は注意
歯周病は日本人成人の7割以上がかかっているとされる。歯周病原細菌が関わっている病気で、高齢者が特に注意したいのが誤嚥性肺炎だ。
誤嚥性肺炎は、歯周病原細菌などが唾液とともに肺に流れ込んで起こる疾病で、高齢者に多く発症する。通常は、唾液と一緒に飲み込まれた細菌は胃液によって「殺菌」される。寝ているときも唾液を飲み込む「嚥下(えんげ)反射」が起こり、細菌の気道への侵入を防いでいる。
元気な人なら、せきなどによって細菌を排除できる。また、気道粘膜に生えている細かい繊毛によって唾液が肺に流れ込まないようになっている。しかし、高齢者は嚥下反射が低下しているため、細菌が肺や気管支に入り込んでしまうという。奥田名誉教授は「高齢者になると免疫力が低下し、抗菌作用のある唾液の量も少なくなり、歯周病になりやすくなる」と話す。
歯周病原細菌が関係している可能性がある病気では、脳血管障害や心疾患のほか、糖尿病や低体重児の出産との関連も報告されているという。
慶応大の中川種昭教授は「歯周病原細菌が歯茎に入り込むと、歯茎を通る血管を通じて全身に回ってしまう」と説明。「口の中の細菌をコントロールするケアは、予防にも、治療後の再発を防ぐためにも重要だ」と指摘している。

■眠る前のケアが大事
口の中のバイオフィルムの予防には、毎日の歯磨きなどのセルフケアと専門家による定期的なチェックが重要だ。
中川教授は「特に眠る前のケアが大事」と話す。バイオフィルムは、口の動きが少なく、刺激によって出る唾液の少ない睡眠中に増加。さらに、薬剤や免疫機能が効きにくいという。このため、歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシで物理的に除去するのが有効だ。歯ブラシが届かない部分のケアには、抗菌性の高い洗口剤を日常的に使うと効果が高い。バイオフィルムが歯石になってしまうと自分で除去するのが難しく、歯科医院で除去してもらう必要がある。(産経新聞より)

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このバイオフィルムはなかなかの大敵です。現在は歯ブラシをしている日本人は多いですがデンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使用率が低いと追われています。就寝前には必ずブラッシング後にデンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使用してみて下さい。そこの後洗口が効果的です。いつもとお口の環境が変わりますよ!!正しい使用法は歯科医院で指導しますよ!三嶋直之

「臨床家のためのやさしい接着のはなし」

「臨床家のためのやさしい接着のはなし」 横塚繁雄・高橋英登 他著  医師薬出版

このブログでも何度も高橋英登先生の講習会を紹介していましたが、高橋先生は日本歯科大学の補綴出身で接着を専門とした先生です。先生の講習会で接着に興味を持ち、現在接着の勉強中!

その中で高橋英登先生の著書を購入できましたのでレビューします。

コンポジット系の専門書はこの頃多く発売されていますが、補綴物接着の専門書は少ない様です。発刊は1999年で現在絶版です。オールカラー。

専門書ですが、接着の勉強は理工学の教科書の様な専門用語が羅列されちんぷんかんな事が多いと思いますがこの本は臨床医に向けた実践的な内容になっています。簡単な用語集も載っており読みやすいです。

最初の行は、さっらっと読みたい人向けに簡単に書かれており、深く知りたい人はそのまま読み進めると深く知ることができる書き方をしておりわかりやすいです。

10年以上前の本ですが、接着の考え方は現在と変わっておらず、スーパーボンドを中心に解説してあります。今月の歯科評論2月号にも高橋先生の接着特集が組まれており、この著書と重なる記述も多く、10年前から接着の考えか方は変わっていないことがわかります(普遍性的ともいえますね、スーパーボンドを推薦していることも同じです)ただし、商品は10年前に比べればたくさんあり接着剤の選択肢は現代は増えたと思います。この著書は絶版ですので、歯科評論2月号購読がオススメです。

是非、「臨床家のためのやさしい接着のはなし 2013年改正版」の発行に期待です(笑)

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北日本口腔インプラント研究会 定例会

3日札幌の東京ドームホテル札幌で北日本口腔インプラント研究会主催定例会が開催されました。

朝日大学歯学部教授 山内六男先生による「インプラントよる欠損補綴で考慮すべき事項」と題した講演会に参加してきました。P1030226P1030230

午後は北日本口腔インプラント研究会の新年会が併催され、恒例のビンゴ大会も行われました!

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〔かむ動作を行うことで注意力と判断速度が向上する 〕

放射線医学総合研究所(放医研)は、かむ動作を行うことで、注意に関する脳内ネットワークが賦活されることにより、認知課題の応答速度の改善が引き起こされていることが示唆されたと発表した。

ものをかむ動作と、人の記憶、注意、実行機能などの認知機能との関連性を、心理学的手法を用いて調べるさまざまなから、ものをかむ動作はこれらの認知機能の成績の改善をもたらすということが近年、明らかになってきた。

しかし、そのメカニズムとしては、初期の局所脳血流やグルコース運搬の増加の仮説から、近年のかむ運動による交感神経系や網様体賦活系による覚醒レベル(刺激に対する応答性のレベル)の上昇、気分や不安水準の変化による覚醒レベルの上昇といった仮説まで、さまざまなものが提唱されているものの、依然として不明のままであった。そこで今回の研究では、多くの統一された研究報告がある「かむ動作が注意の向上と認知課題の実行速度を増加する」という現象について、そのメカニズムを解明するために脳活動部位の変化の調査が行われた。

検査の具体的な内容は、数秒から十数秒の間隔をおいてスクリーンに映る矢印の左右を当てるといったもので、もうすぐ映るという合図の有無や、矢印の左右の判別を難しくする別の矢印(妨害)の有無により、注意に関する脳内ネットワークを賦活することができる。今回は、同検査中の脳活動の差をかむ動作を伴う場合と伴わない場合で比較が行われた。

この実験の結果、かむ動作を伴う場合は、妨害の有無と合図の有無のすべての組み合わせで応答速度の平均値が下がっており、中でも「妨害なし、合図あり」、「妨害あり、合図なし」では、かむ動作を伴う場合とかむ動作を伴わない場合とで有意な差(p<0.05)があったという。

また、テスト中、fMRIの結果から前帯状回や左前頭前皮質(左上前頭回と左中前頭回)などの注意に関わる領域の活動を増強させることも判明した。

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これらの結果から、かむ動作により注意ネットワークが賦活されることで、判断速度が向上し、注意力が高まっていることが示唆され、かむ機能の重要性が示されたとともに、かむ機能を温存させる必要性が示されたと研究グループでは説明しており、例えば頭頸部のがんでは、手術によりかむ機能が温存できない場合があるが、今回の研究の観点からすれば、かむことのような機能を温存させる治療法が強く望まれるとしており、そうした意味では切らずに治すことが可能な重粒子線治療が、そうした機能を温存させる治療法として期待されるとしている。

すばらしい研究内容と結果かと思います。噛むことの重要性、噛めるような歯を持つことが重要ですね!