「かみつきがいい」入れ歯

《「かみつきがいい」入れ歯 かめない義歯のイニシャルプレパレーション》 河原英雄 著 生活の医療社

久しぶりの専門書レビューになります。先日、福岡にてセミナーを受講してきた河原先生の専門書です。

旧義歯をリマウントし咬合調整する方法がきめ細かく書かれています。前書の『保険総義歯のススメ』は新義歯制作を中心に書かれていますが、今回は旧義歯治療を中心になります。まさに私にとって待望の専門書となります。(発売日に購入してしまいました)特に往診診療では治療期間をよりクイックにする必要が多く、新義歯作成では時間がかかることが多いと思います。この河原先生が提唱する方法では最低数時間で義歯治療が終了する可能性もあります。

専門書に中には、バランスドオクルージョンについて、口腔外のみ義歯の咬合調整が不可能の理由、総義歯・部分床義歯でのリマウント及び咬合調整、フードテストについて、先生の門下生の症例(ムービー付き)が書かれています。

特に高額な道具を必要としなく、唯一専用の咬合器が必要となりますがそれほど高額ではありません。今後低価格の咬合器も発売予定のようです。

難しいことを考えず、自己流に脚色しないで素直に取り込むことが成功に近道です。

往診・長期通院不可の方にはリマウント法が的確な義歯治療が可能かと思います。試みたい方はまずはこの専門書を熟読し、セミナーに参加ください。勉強になります。

 

『河原英雄先生セミナー』

4月22日23日と福岡で行われた『河原英雄先生セミナー』を受講してきました。総義歯の勉強です。河原先生は現在76歳ですが現役バリバリの歯科医師で現在も九州で診療に当たられています。今回は1月の新宿で河原先生セミナーに続き受講してきました。今回のセミナーを探すのに大変でしたがご協力していただいた先生方のお陰で無事に受講出来ました。

先生の技法は、旧義歯・新義歯に関係なく短時間で義歯を調整し、前歯で食べれる義歯すなわち日本人にあった箸文化の食事が不自由なく食事が出来ようにすることです。義歯をリマウントし口腔外で適切な咬合調整をすることで食べれるようになります。多数の受講生も同じ技法で治療し成果を多数あげています。前歯で咬むことは脳に対し刺激が伝わり患者さんの健康状態が著しく向上することも解ってきています。

私も義歯好きですので色々と診療してきました。この数年は印象より咬合の重要性に気づき、特に水平的な顎位のエラーは成否に直結します。しかし。咬合が重要と知りながら対応出来ていないことも多くあります。口腔内では義歯の咬合の適否を判断することは難しく誤診につながりやすいと考えます。そこでリマウント方になりますがリマウント後の咬合調整について書かれている教科書は少なく、新義歯ならともかく旧義歯での咬合調整については数冊しかありません。義歯の教科書は印象中心の内容が多い傾向があります。

今回の治療法は。歯科医師なら誰でも取り入れやすい方法で結果も良好です。私もまだまだ初心者ですがこれが義歯治療の一つの答えのような気がします。すべての患者さんに100点義歯治療は難しいかもしれませんが努力を重ね80点以上の義歯を提供出来る歯科医師になりたいと思います。

Kybiteシステムセミナー

26日東京日本橋 土屋歯科医院で行われた《Kybiteシステムセミナー》を受講してきました。講師は村岡秀明先生や塩田博文先生のセミナーアシスタントで活躍されている土屋公義先生です。

去年は土屋先生のDVDの発売もあり現在、注目をされている治療法です。私は去年セミナーを受講し今回は実習コースを受講してきました。

Kybiteシステムは塩田博文先生考案の軟化パラフィン臼歯部咬合法を天然歯における咬合採得に取り入れ顎関節症や咬合の違和感・不具合等の治療に応用している治療法です。義歯治療では軟パラ法は応用していたのですが、天然歯での応用も勉強したく今回参加させていただきました。

受講生相互実習を行い、簡易ステントをつくり、体幹の安定度を1本足の下駄で確認したり楽しい時間を過ごせました。また、土屋先生の人柄かと思いますがどんな質問を丁寧にお答えしていただき大変勉強になりました。

臨床を10年以上していますと咬合の重要性は思い知らされます。特に義歯に関しては極論かもしれませんが咬合(バイト)が命であり、これ以外には成功はないとすら感じています。その重要な咬合は残念ながら口腔内では判断(判定)できない事を自覚することから義歯治療が始まるような気がします。

『水平的顎位の私なりの考察』

これからの内容は歯科医療従事者しか意味がわからないことをご了承ください。

普段の診療で水平的な顎位についての悩むことがあります。特に義歯製作についてですがその中でもより顕著にエラーが出やすいのがフルデンチャーだと考えています。

水平的な顎位の前に垂直的な顎位については、ある程度の幅(3~5ミリ程度)があると思います。同一患者でも垂直的顎位は作るたびに数ミリの変化があり、水平的顎位には幅があり 数ミリの違いは許容範囲であると思います。低いバイトは本来のバイトに戻したり、高齢者であればあえて低いバイトで作成する事もあるでしょう。しかし、水平的な顎位はほぼ許容範囲は狭く、ピッタと合っていないと噛めない義歯になることが多いと思います。その精度は総義歯印象よりシビアではないでしょうか?。 Continue reading